第三十五話「死骸」
背の高い植物の茂みをかき分けながら、見通しの悪い森の中を進む。
未だ臭いの発生源となる動物の死骸は発見できないが、この鼻をつく腐敗臭は森の奥へと進むにつれて確実に濃くなっていっている。
近い。
複数の蠅の羽音が辺りから聞こえ、濃度を増した腐敗臭が吐き気を催す程度となって漂っている。
そして、茂みをかき分けたその先、森の少しひらけた場所で、落ち葉の上に横たわり腐敗する動物の死骸をとうとう発見した。
「四足獣か。」
頭部から尻尾の先にかけての長さは2mから3m。
死骸の腐敗は白骨化が進んでおり、その表面に皮膚を見受けることはできない。
この森の温暖で湿潤な気候から考えると、死後30日前後といった所だろうか。
異臭を放っているのは、腹腔から腰骨にかけて収まっていた内臓が作り出す小山である。
四足獣の尻尾は体長に比して長く、その長さは体長の凡そ1/3を占めている。
尻尾の長さから察するに、この四足獣は爬虫類だろうか。
コモドオオトカゲは大きいもので体長2mを超え、イリエワニは大きいもので体長5mを超える。
この四足獣が巨大な爬虫類である可能性は否定できない。
むしろ、昨日から見ている巨大な植物や木の巨人、昨晩襲い掛かってきた体長50cmの黒サソリなどを考えれば、爬虫類も同様に巨大である可能性が高いと言えよう。
「しかし、強烈だな。」
白骨化したあばらの隙間からは腐りきった内臓が覗いており、そこには大量に湧いたウジ虫と蠅がたかっている。
辺りに漂っている吐き気を催す腐敗臭も強烈だが、この四足獣の死骸も視覚的に強烈である。
通常ならば、一刻も早く目を反らせて立ち去りたい光景である。
だが、目を背けてはいけない。
この四足獣の死骸は、体長2mから3mの動物を捕食する存在がこの森に居るということを示しているのだ。
食事は後だ。
「これから検死を始めよう。」
【持ち物】
白い布
蔦の命綱
石槌
石ナイフ
【スキル】
木登りLv.1
崖登りLv.0
火おこしLv.1
【生産】
蔦の命綱
アカシアの防護柵
石槌




