第三十三話「木の上でお昼寝」
「おいしょ。おいしょ。」
木の幹の後ろ側をしっかりと手でホールドし、木の幹の前側に足の裏を押さえつけ、屈伸運動を使って木を登っていく。
木の上でお昼寝をするのだ。
木登りができる動物は、高い木の枝の上に登って昼寝をすることがある。
これは、寝ている間に捕食者から襲われないようにするための対策である。
地上で寝ている間に襲われてしまえば、捕食者からの攻撃を防ぐ手立ては無い。
逃げることはおろか、反撃すらできぬままに捕食されてしまうのだ。
「おいしょ。おいしょ。」
木の枝を渡り次いで、より大きな木へと移動する。
自然界には、熊のように木登りが得意な捕食者も居るのだ。
昼寝をするのならば、捕食者から見つかりやすい低い枝の上は避けておきたい。
加えて、ここは巨大な常緑の木々が生い茂った大森林である。
幾重にも折り重なった枝葉が視界を遮るフィルターとなって、木々の梢を確認することさえ難しかったのだ。
たとえ捕食者がこの森の巨大な木々を地上から見上げたとしても、高い木の枝の上で寝ている獲物を発見することは難しいだろう。
それに、せっかくの大森林なのだ。
見晴らしのいい高い木の枝の上でお昼寝をしよう。
「おいしょ。」
かなり大きな木の天辺まで登ることができた。
見上げれば、太陽の日差しが眩しい。
今日もいい天気である。
樹冠から周囲を見渡せばどこまでも続く森が広がっており、数百m先には木の巨人が昨日と変わらない両手を挙げたポーズを取って佇んでいる。
「いい森だな。」
雄大な自然に心が解され、この巨木の生い茂る森をいつまでも見ていたくなる。
でも、そろそろお昼寝をしよう。
寝ている間に落ちてしまわないように、木の幹と胴体を命綱で結んでおく。
よし、これで安心してお昼寝をすることができる。
木の天辺から張り出した木の枝に体を預けて、手足をぶらんと下に垂らす。
背中に受ける日の光が暖かくて気持ちいい。
昨日は、黒サソリのせいで寝不足なのだ。
目を閉じれば、葉のさやさやとした音が聞こえるのみである。
ああ、全身の筋肉が弛緩していくのを感じる。
それでは、少しだけ眠ろう。
【持ち物】
白い布
蔦の命綱
石槌
【スキル】
木登りLv.1
崖登りLv.0
火おこしLv.1
【生産】
蔦の命綱
アカシアの防護柵
石槌




