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第十七話「水分補給」

人間の尿に含まれる水の割合は約98%とされている。


これは、炭酸飲料やフルーツジュース、野菜ジュース、乳酸菌飲料などの清涼飲料水に含まれる水の割合よりも多い数値である。


コーラを例として挙げた場合、コーラ100mlあたりには10g以上の砂糖が含まれていることから、コーラ100mlあたりに含まれる水の量は、コーラ100mlから砂糖の量を引いた90ml以下という数値になる。


加えて、コーラには砂糖以外の成分も含まれていることから、コーラ100mlに含まれる水の量は更に下がることになる。


これらのことから、コーラに含まれる水の割合は90%以下だということが分かり、この数値は、人間の尿に含まれる水の割合である約98%を大きく下回る。






余談ではあるが、清涼飲料水と人間の尿のどちらが水の割合が多いかを見極める方法は、清涼飲料水のパッケージに書いてある成分表を見れば簡単である。


パッケージの成分表には、多くの場合で100mlあたりに含まれる炭水化物やタンパク質のグラム数が書かれているので、それらの合計を人間の尿に含まれる水以外の成分の量と比較すればよいのである。


なお、人間の尿に含まれる水以外の成分の量は、人間の尿から人間の尿に含まれる水の割合である約98%を差し引いた約2%なので、人間の尿には、100mlあたりに2ml=2gの水以外の成分が含まれているということになる。


このことから、清涼飲料水のパッケージに書かれている100mlあたりに含まれている炭水化物やタンパク質のグラム数の合計が2gより多い場合は、清涼飲料水に含まれる水の割合が人間の尿に含まれる水の割合より低いということになり、2gより少ない場合は、清涼飲料水に含まれる水の割合が人間の尿に含まれる水の割合よりも多いということになる。


よく清涼飲料水に何個分の角砂糖が入っているかというたとえがあるが、2gとは角砂糖に換算して角砂糖1/2の量である。


これは、500mlペットボトルで考えた場合、角砂糖2個半、重さにして10gである。


したがって、この角砂糖2個半、重さにしてわずか10gが、500mlペットボトルにおける清涼飲料水に含まれる水の割合と人間の尿に含まれる水の割合が等しくなる境界線となるのである。


しかし、500mlの清涼飲料水の中に含まれる砂糖などの水以外の成分が10g以内に抑えられている場合は少なく、多くの清涼飲料水の場合において、人間の尿の方が清涼飲料水よりも水の割合が高い。


つまり、尿とは清涼飲料水よりも高純度の水であり、水分補給にうってつけの携帯飲料なのだ。






さりとて、僕に飲尿の経験は無い。


飲尿療法という尿を飲む健康法があるくらいなのだから、飲めない味では無いと考えているのだが、先の幼虫の例もあるので油断はできない。


ちなみに、飲尿療法は科学的な根拠が無い民間療法なので、何らかの効果があるのかもしれないが、手放しに信じてよい療法では無い。


それでは、僕の体内から清涼飲料水よりも純度の高い水を抽出して行こう。


尿を受け止められるように、両手の手の平で器を作り、ゆっくりと尿を注ぐ。


手に注がれる尿は暖かく、手の平全体を伝わる尿の温もりは心地よい。


一般的に尿は汚いというイメージがあるが、汚いのは排出してから時間が経過して雑菌の繁殖した尿のことであり、尿道から出てくる新鮮フレッシュな尿は、無菌状態なので清潔である。


ほどなくして、尿は両手の手の平いっぱいに溜まった。


尿の色は濃いオレンジ色で、表面から湯気が立ち昇っている様子は、まるで温かいスープのようである。


なお、この濃いオレンジ色は、水分が足りずに濃縮されていることを意味している。


木登りという運動は、予想以上に体内の水分を消費していたのだろう。


さてさて、早く飲まなければ、指の間から零れ落ちる尿が勿体ない。


果たして、このオレンジ色のスープはどんな味がするのだろうか。


早速、飲尿を開始しよう。






手に注いだ尿を口に持っていき、口の中へと流し込んでいく。


尿が少しずつ口の中を満たして、先ほどまで手を温めていた温もりが、今は口の中へと広がって行っている。


苦みやえぐみを警戒していたのだが、尿の味は薄い塩味がする程度で、すんなりと胃の中へと入っていく。


木登りの後だからだろうか、尿に含まれる塩味が身に染みるようで、はしたなくもゴクゴクと飲んでしまう。


運動後の一杯は格別である。


一般的に尿の味は食べ物に左右されると言うが、まだ尿の味に幼虫の成分が反映されていないのだろうか。


あの幼虫の成分が反映されていたとしたら、これ程までにゴクゴクと飲むことはできない。


尿の味に幼虫の成分が反映されていないとすると、転生したばかりの僕のおしっこは、生まれたばかりの赤ちゃんがしたおしっこと同じで、食べ物に味が左右されていない純粋ピュアなおしっこなのだろうか。


ただおしっこを飲んでいるだけなのに、何かとうといものを飲んでいるような不思議な気分である。


もしかすると、これが尿本来の味なのだろうか。


そのようなことを考えながら、僕は手の平に注がれた尿を飲み切った。


【持ち物】

白い布

蔦の命綱


【スキル】

木登りLv.1

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