閑.転生の裏
少しだけネタバレがあります。
ここは地球のある世界のとある家の一室。特殊なスケルトンが転生した、と大騒ぎしている時とほぼ同時刻、この一室では2つの人影があった。ここは、いたって普通の家の洋室だ。違うところといえば、窓からとても大きい太陽が顔を覗き、その反対側には地球の丸い姿があるといったところぐらいだろうか。その一室の2人のうち1人は上下ジャージといったとてもラフな服装であるが、20歳くらいだろうか、真面目な顔の相手はスーツを着ていた。2人は、普通の挨拶を交わした後、若い声からは想像しがたい、緊張したような声が聞こえ出した。「あの過酷な世界に、弱者として送り出しましたが本当によろしかったのですか?あなた様のご友人でありますが。こちらにとっては、もう怖い思いをしなくていいですし、命令でしたから喜んでやりましたが。」「大丈夫だよ。彼は必ず神になって帰ってくるよ。優しさと非情さを知ってからね。彼は今まで僕よりも強くてね。“本当の邪神”になることができてなかったけど運良く地球に行ってくれたからね。飛ばすことにしたのさ。」「……そんなことを考えていたとは…。しかしながら、あなた様の言ったように優しさを知ってくるのでしたら少しは安心できますでしょう。もう戻せないのですし……、本当にそうなることを全力で祈ることにしますよ。では、私はこれで。」「うん、頑張るようにね。」「仰られなくてもそういたしますよ。では。」若い、スーツを着た男は座った状態でそう言うと、空間に吸い込まれるように消えていった。それを眺めていた男は「祈っても、祈らなくても、結果はかわらないのにねぇ。」と呟いたのであった。