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残酷な夜の月  作者: 丸めがね
3/3

第三夜

「じつは・・・桃、男の子だったので~す!」


ガタン!!


まるなは椅子から転がり落ちた。

「おおお男の子????!!!!桃ちゃんが?!」

パソコンの画面のコメントも一斉にUPされていく。


「桃ちゃんが男の子?!」

まるなは座り直し、画面に思いっきり顔を近づけて桃の顔を食い入るように見た。

「確かに・・・髪を切って化粧を落とせば、線が細い美少年に見えるかな・・・?」

むしろ、言われてみればそっちの方がしっくりくる。


「驚かせてごめんね。でもさ、桃も15歳じゃん?そろそろ、女の子じゃ通用しなくなると思ったんだ。体もごつくなるし、声も低くなるでしょ?・・・気持ち悪いよね。

だから、これからはしばらくお休みして、ちゃんと男の子になって帰ってきたいと思いまーす!」


ピーピーピー

まるなのラインがせわしなく着信を知らせる。きっとこの動画を見た友達グループからだろう。

「男の子・・・・いいな・・・」

まるなはショックが治まると、ものすごく羨ましくなった。

「きっと桃ちゃんは身長も伸びて、筋肉もついて、カッコイイ男の子になるんだ・・・。いいな・・・ボクもそうなったらいいのに・・・」

自分の姿を鏡に映す。

お人形みたいな顔、小さくて痩せているのに胸だけが大きくて、どこからどうみえも女の子にしか見えない。

嬉しくもないのに男の子からはやたらとモテて、そのせいで大好きな女の子からは嫌われてしまう。


しばらくしてちょっと落ち着いたので、ラインの返信をしようとスマホを見ると、いつもの顔ぶれの中にまぎれて、まったくしらない人からメッセージが届いていることに気付いた。

「”k”って誰だろ?友達登録したっけ?」


”k”・・・(キミを本来の姿に戻す方法がある)


”まるな”・・・(本来の方法?)

まるなは思わず返信していた。


”k”・・・(キミは本当は、こことは違う世界に男の子として生まれるはずだった)


「えっ!」

”まるな”・・・(どういうことですか?!)


”k”・・・(キミをその世界に連れて行くことはできる。)


「その世界・・・って・・・。こことは違う世界・・・?どんな世界?」


”まるな”・・・(それは、どんなところなんですか?)


”k”・・・(それは自分で確かめるしかない。そこに行きたいか?)


なぜかまるなの中で、この人を疑う気持ちはなかった。


”まるな”・・・(行きたいです!自分の本当の姿になりたいです!)


”k”・・・(承知した)



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