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幸せになれない人

作者: 蒲公英陽

「別れよう」


約半年付き合った彼にそう告げた。

告白したのは私からで、きっと今彼女がいないからっていう理由で告白をオッケーしてくれたんだと思う。それがこんなに続くなんて自分でもびっくりだ。まあ、終わらせようとしてるのは私なんだけど。


付き合い始めてからは、彼は優しかった。だけどいつも上の空だった。私が「好きだよ」って言うと「俺も」っていつも返してくれたけど、彼から「好き」っていう言葉は聞いたことがなかった。いつもふとした瞬間に寂しそうな表情になる。


私は彼が初めての彼氏だった。キスもデートもセックスも全部初めてだった。どんなときも優しかった。


だけど彼はいつも目で追っている人がいた。あの子は彼の元カノだと聞いた。察してしまった。だけど私は彼が好きだ。離れたくない。でも私がいなければ、彼は心から笑えるのではないか。寂しい顔をしないのではないか。やっぱり好きな人には幸せになって欲しい。


こんな感じのきれい事を並べてみたけど、実際はもう彼のことを好きだと思えなくなったからだ。いくら好きな人と一緒にいても、心のこもっていない好きを言われ続けてしまえば冷めてしまう。こんな最低なこと彼には伝えるつもりは無い。最後くらいいいところを見せて終わりたい。


「まだ元カノのこと好きなんでしょ?幸せになって」



そうして彼と別れた。






一週間後視線を感じると思い目で追ってみると、彼だった。いや、もう元カレか。何か言いたそうな顔でこっちを見ている。まあ、関係ないけど。




そして一ヶ月後元カレに新しい彼女ができたらしい。でもやっぱり視線を感じる。次は私なんだな。




彼はなんて可哀想な人なんだろう。







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― 新着の感想 ―
[一言] 切ない、けれど、それ以上に救いようのない性癖のヒーロー(?)ですね(笑)。 幸か不幸か主人公の彼への想いは冷めたみたいですけど、そうでないと女性はヒーロー(?)以上に救われないような……(汗…
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