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夏生詩集

虹色の心

作者: 夏生

詩ですが、長いです。ご容赦ください。

生まれて始めて抱いた感情は

怒り、でした

人を嫌うことでした


はじめに


私をぶった兄弟を嫌って

私を叱った親を嫌いました


私を仲間はずれにした

友達を嫌って

母と私を強引に離した先生を嫌いました


兄弟にぶたれ、親に叱られ、

友達に仲間はずれにされ、先生に

引き離された自分を嫌うようになりました


嫌うほど、自分は強くなるような

気がしました

怒りをおぼえるほど、力が湧いてきたのです

怒りは私の心を真っ赤に染めました

赤は深まり、熱を帯びていきました


悪態をつき、人を睨み、お人形の髪をばっさり

切りました


そんな私と遊んでくれた近所のお姉さん

私が生まれてはじめて、好きという感情を

覚えた人でした


お姉さんといるときは

うれしくて、楽しくて、心は鮮やかな虹色に染まりました


ある日、私はお姉さんと離れることになって

もう会えないと知って

泣きました、生まれてはじめて悲しくて

泣きました


毎日、毎日

お姉さんとの優しい思い出で

心の中をかき回して、痛い、痛いと

泣きました


お姉さんのこと、嫌いになれたら楽かしら

全部、全部、嫌いになれたら、私は

元の強い自分に戻れるかしら


お姉さんなんか、大嫌い

大好きだから、苦しいの

私を苦しませるお姉さんなんか、大嫌い


無理でした

どうやってもお姉さんを嫌うことは

できません


私ははじめて、さみしさを感じました

どうにもできない、悲しみもおぼえました

切なさをおぼえました


人を好きになると

心は虹色に染まりました

鮮やかな色は、嬉しい心の色

薄く儚い色は悲しい、切ない心の色


時々、真っ赤な怒りに飲み込まれながら


鮮やかな赤はその名残りです







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― 新着の感想 ―
[良い点] 読んでいて、自分の幼少期を思い返すようでした。夏生さまの書く詩には、心が引き寄せられます。 成長する幼児の心を描写し、その色合いを虹にたとえているのが詩的で美しいですね。
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