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三題噺もどき5

溶時間

作者: 狐彪
掲載日:2026/06/20

三題噺もどき―はっぴゃくはちじゅうはち。

 




 外からごうごうと風の音が聞こえる。

 昨日あたりから、台風か何か来ているんだろうかと思う位に風が強い。

 梅雨の時期に入ったあたりから、毎日のように雨が降っているし、気分が滅入るのも仕方ない。そうでなくても……夜というのは気分が落ち込む。

「……」

 外は真っ暗な空が広がっている事だろう。

 天気も良くはないから、星も月も見えないかもしれない。

 雨の音はしないから、多少はよくなっているのかもしれないけれど。

「……」

 小さなささやき声程度の音量で、動画を眺めている。

 スマホをベッドに預けつつ右手で操作し、身体ごと横向きに寝転がって。

 真っ暗な部屋で、煌々と光るスマホの画面に少し目をしかめながら。

 同じ姿勢でいると、徐々に頭が痛くなったり肩が痛くなったりするので、ゴロゴロと姿勢を変えながら、止むに止まれず見続けている。

「……」

 隣の部屋に居るはずの妹は、もう既に眠っているのか静かに思える。

 まだ中学生の妹2人はそれぞれにスマホを買い渡されているわけではないので、夜は寝るか勉強をするか、ゲーム機で遊ぶかしている。

 ゲーム機は我が家は姉妹で1台なので、それぞれ持っているわけではない。だから誰かが使っていれば誰かは使えないのだ。

 私はもうこのスマホがあるから、ゲーム機を使うことは無くなった。まぁ、来年には妹が1人高校生になるので末っ子が独占できるようになるだろう。

「……」

 スマホの中では、地球儀がくるくると回っていた。

 どうやら、どこかの観光スポット的なものを紹介する動画らしい。

 なかなかに良い景色で行ってみたいと、思わなくもない場所だった。

 しかしこれは海外だから、そう簡単に行くモノでもないか。

「……」

 ふと気になってその動画の右下にあるアイコンをタップしてみる。

 国内の動画とかこの人は上げていないんだろうかと思ったのだけど。

 どうやら、海外旅行が好きでそれをメインに動画を作っているらしい。

 行ってみたいと思うことには思うが……このご時世あまりな。

「……」

 動画の一覧から戻り、見ていた地球儀の動画まで戻っていく。

 そのまま、更にスライドして次の動画へと進んでいく。

 仔猫の動画や子供の動画……広い公園で走り回る子犬と子供。可愛いと思うが、転んで泣いてしまった子供を笑いながら撮影する様子にほんの少し、はて、と思う。その上に子犬がじゃれてきてもう身動きも思うようにいっていない子供。

「……」

 更にスライドすれば、またどこかの景色が映る。

 時期はいまではないだろうが、百合の咲き誇るどこかの景色だった。

 しかしどこかおかしいというか違和感があるので、今流行りの生成AIというやつだろうか。まぁ、こんなきれいな景色を作るだけなら、いいモノだとは思うが。

「……」

 次々と動画を飛ばし、時折止まって眺めて。

 料理の動画や、ただ作業をしているだけの動画。

 踊っていたり、歌っていたり。

「……」

「……」

「……」


 :


「……」

「……」

「……」

「……、」

 はたと気づき、時計を見る。

 もうとうに日付は変わり、3時間ほどたっていた。

 明日……というか今日も普通に学校に行かなくてはいけない。

 朝はさして早いわけでもないが、この参時間後には起きて朝食を食べてとしなくてはいけない。授業中に眠くなることはそれなりにあるから、別に睡眠時間が短かろうとなんだろうとあまり関係ない。

「……」

 しかしまぁ、一応眠るという必要性を、身体は欲しているらしく。

 時間に気づいた瞬間から、一気に眠気のようなものが襲ってきた。

 つい先ほどまではあくびも漏れなかったのに。

「……」

 スマホをベッドの上に伏せ、充電器に刺しなおしておく。

 ずっと繋いでいたつもりだったが、気づかぬうちに外していたらしい。

「……」

 落ちるように意識を手放し、眠りにつく。

 まぁ、この3時間後には母にたたき起こされたのだけど。











 お題:地球儀・百合・公園

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