善行の富豪
私は正直金持ちだ。資産が720億ドルあるし。しかし、ありとあらゆる娯楽は試したし、人助けもしまくった。
数年前に援助した国はアフリカ有数の産業大国になって、乳児がめちゃくちゃ死ななくなったらしい。
だが、この莫大な資産は私が死ぬまで使い尽くせないだろうし、私の子供も独り立ちして、嘘みたいな金持ちになってる。
そこで、最近私のハマっている善行を紹介しようと思う。
それは、全国の工事現場に赴いて飲み物を配ることだ。私がやろうと思えば、リムジンで乗り付けてシャンパンだのなんだのを浴びるように投げつけることだってできる。しかし、そんなくだらないことではなく、近所のコンビニの袋いっぱいにスポーツ飲料だとかコーヒーを詰め、汗だくで渡すのである。
それの何が良いのか、もちろんそう思う人がいるのも頷ける。だがどうだろう、私が支援して変わるものはいろいろあった。豊かになり、成長し、移ろう。こんなものはもう見飽きたのだ。
実際に赴き、手渡しすることのライブ感に優るものはない。
私ももう93だ。残りの人生をこんなことに費やすことを許してほしい。
じゃあ、ここで自慢の工事現場探知システムを紹介しよう。
私はこの国ありとあらゆるゼネコンに伝がある。というわけで、それらの会社に働きかけ極秘の工事現場探知システムを構築したのだ。これを作る時は本当にワクワクした。まるで映画のスパイ基地だから。
なんかよくわからないが、たくさんボタンとかレバーがついてる管制室と、なんか巨大な黒の画面に緑の地図と工事現場が赤い点で表示されるのだ。
うーん、かっくいい〜。
この他にも、基地から高速道路に直通するトンネルも作った。もちろん許可は得たし、国の要人もたまに使うらしい。
あとバンを改造して秘密車両も作った。なんとなく防弾にしたし、中にはラグジュアリーな装備が充実してる。
そして、全国の工事現場に赴き、近くのコンビニで飲み物を買い、暑いですねぇ〜などの雑談をして配るのだ。
工事現場の諸君は私が筆頭株主であることなど、微塵も気づいていないだろう。この気心の知れなさが何とも言えんのだ。




