婚約者に「時間の無駄だから二度とメイクはするな」と言われた伯爵令嬢
「ドナ、どうかしらこれ?」
私の専属メイドであるドナに、今日のメイクを見てもらう。
「わあ! とってもお綺麗ですお嬢様! これならきっとジェイコブ様も、お嬢様にメロメロですよ!」
「ふふ、メロメロって」
大袈裟にはしゃぐドナに、思わず口角が上がる。
「あ、もうこんな時間! ドナ、急いで馬車を準備して!」
「は、はい、お嬢様!」
今日はこれから婚約者であるジェイコブ様と二人で、夜会に出席することになっているのだ。
私は最後にもう一度だけ鏡でメイクを確認すると、自室を後にした――。
「遅いぞコーデリア! 5分も遅刻だ! どこで何をやってたんだッ!」
「――!」
が、夜会の会場に着くなり、ジェイコブ様から怒号が飛んできた。
ジェイコブ様は左腕に嵌めている腕時計を、右手の人差し指でトントン叩いている。
あ、あぁ……。
「……申し訳ございませんでした。少々支度に時間が掛かってしまいまして」
「支度だぁ? フン、大方またその似合いもしない厚化粧に、無駄な時間を使っていたんだろう?」
「……!」
無駄な……時間。
「お、お言葉ですがジェイコブ様! まだ開場までは時間に余裕はございますし、集合時間に5分遅れたくらいで、そこまで仰らなくてもよろしいではございませんか! それに、女性にとってメイクというのは、とっても大事なものなのですよ!」
「――! ……ドナ」
ドナが震える声で、ジェイコブ様に抗議してくれる。
嗚呼、ドナ……!
「アァン? 貴様、たかがメイドの分際でこの僕に意見するとは、いい度胸だな? 路頭に迷う覚悟はできてるんだろうな、アァ?」
「そ、それは……」
クッ……!
「ジェイコブ様! 遅刻した件はこの通り謝罪いたします! ですからどうかドナのことは、お許しいただけないでしょうか!」
「お、お嬢様……!」
私はジェイコブ様に深く頭を下げる。
「……フン、最初からそうやって素直にしてればいいんだよ。――いいか? 女である君は、あくまでラザフォード侯爵家の嫡男である僕のお飾りに過ぎないんだ。だれも君のことなんか気にしてないんだよ」
「――!」
ジェイコブ様がビシリと私に指を差す。
「だからメイクなんて、するだけ時間の無駄なんだ。二度とそんなもので、この僕の貴重な時間を潰すんじゃないぞ? わかったか?」
「そ、そんな言い方は!」
「ドナ!」
「っ! お嬢様……」
頭を上げた私はドナを見つめ、コクリと一つ頷く。
そしてゆっくりとジェイコブ様と向き合う。
「重ねてお詫び申し上げます。今後は遅刻はしないように、時間にゆとりを持った行動を心掛けるようにいたします」
私は再度頭を下げる。
敢えて「メイクはしない」とは明言しなかった。
メイクは女である私にとって、かけがえのないものだから――。
「フン、そろそろ開場の時間だ。行くぞ、コーデリア」
腕時計を人差し指でトントン叩きながら、私に背を向けるジェイコブ様。
「はい」
「……いってらっしゃいませ、お嬢様」
沈痛な面持ちのドナに見送られ、ジェイコブ様と共に会場入りする私。
――度重なる領地内の疫病の蔓延で財政が厳しくなっている我がクリフトン伯爵家にとって、私とジェイコブ様のこの婚姻だけが、唯一の生き残る希望。
お飾りだろうと構わない。
私は夜会の間中、ジェイコブ様の隣でニコニコと微笑むことだけに終始した――。
「わあ、凄いわねドナ! これ、全部新作のコスメなのね!」
「ふふ、そうですね、お嬢様」
そしてその翌週。
私はドナと二人で、『ビューティーフロント』という、新作コスメの展示会イベントに来ていた。
お城の舞踏会並みに広い会場内には、所狭しと様々なコスメ会社がブースを出していて、試供品を配ったり、新作コスメを先行販売している。
中には美容部員が、実際にメイクを施してくれるブースまである。
嗚呼、こんなにたくさんのコスメに囲まれてるなんて!
身体中の細胞が、歓喜で打ち震えているのを感じるわ!
「あら?」
そんな中で、一際長蛇の列が出来ているブースが目に入った。
どうやらこのブースも、美容部員がメイクを施してくれるところらしい。
これだけの列が出来てるってことは、余程腕のいい美容部員なのかしら……!
「ドナ、私、あの列に並ぶわ!」
「ふふ、承知いたしました」
私は逸る心臓を抑えながら、嬉々として列に並んだ。
――そして待つこと1時間弱。
やっと私の番が近付いてきた。
でも、美容部員の方のお顔を見て、私は長蛇の列の理由がわかった気がした。
美容部員さんはサラサラの流れるような金髪を後ろで一本に縛っており、男性なのに女性かと見紛うくらい、お美しいお顔をしていたのだ。
美容部員さん自身も薄っすらとメイクをしているが、それがまったくいやらしくなく、まるで顔の一部みたいに馴染んでいる。
オオ、流石プロね……!
こんなにお綺麗なうえメイクの腕も一流なんて、そりゃ女性に人気なはずだわ。
現に今メイクをしてもらっている女性は、目をハートにしながら、美容部員さんに見蕩れている。
「はい、これで完成。どうですか、こんな感じで?」
美容部員さんがニッコリと微笑みながら、女性に鏡を向ける。
「わあ! とっても素敵! あ、ありがとうございました! このコスメセット、買います!」
「ハハ、毎度ありがとうございます」
女性は飛び跳ねそうになるくらい全身で喜びを露わにしながら、コスメセットを買っていった。
何て商売上手なのかしら……!
これは飛ぶように売れるでしょうね。
でも、この美容部員さんのお顔、どこかで見たことがあるような……?
「では、次の方、どうぞ」
「――!」
そんなことを考えているうちに、遂に私の番がやってきた。
くぅ!
緊張してきたわ!
「よ、よろしくお願いします」
私は軽く息を吐いてから、美容部員さんの目の前の椅子に座った。
すると――。
「あ、あなたは――!」
「……え?」
美容部員さんが宝石みたいに綺麗な目を、大きく見開いた。
んん??
「あ、あの、どこかでお会いしたことございましたでしょうか?」
「――いえ、何でもありません。本日はどのようなメイクをご希望でしょうか?」
美容部員さんは一瞬で営業スマイルに戻った。
何だったのかしら、今の……?
ま、まあ、いいわ。
「えーと、どのようなというか……。私、まだまだメイクの知識が浅くて。自分にどんなメイクが合っているのかも、よくわかっていないというのが正直なところなんです。なので、是非プロの目線で、アドバイスをいただきたいのですが」
「なるほど、承知しました。お客様は肌がとっても白くてお綺麗ですから、こういった明るいパステルカラーの色合いが似合いますよ。実際にやってみますね」
「あ、お、お願いします!」
やっぱりプロは頼りになるわ!
「目をつぶってください」
「は、はい!」
ドキドキと跳ねる心臓の音に戸惑いながらも、私は美容部員さんに身を任せた――。
「はい、完成。いかがです?」
「――!」
美容部員さんに向けられた鏡を見て、私は言葉を失った。
――そこにはとても自分とは思えないくらい、可憐な美女が映っていたのだ。
そこまで厚塗りしていないのに肌が綺麗に見えるし、リップの色も普段私が使ってる色より合ってる気がする!
「す、凄い! プロの方にメイクをしていただくと、こんなにも変わるものなのですね!」
「いえいえ、俺の腕はオマケみたいなものです。――大事なのはさっきも言った通り、ご自分に合った色やメイク用品を選ぶことなんですよ。お客様には今使った、弊社のこの新作コスメセットがオススメですよ。これをお使いになれば、このメイクがご自宅でも簡単にできます」
美容部員さんはニッコリ微笑みながら、新作コスメセットを掲げる。
ふふ、本当に、商売上手なお方ね――。
「では、それを一ついただきます!」
「ハハ、毎度ありがとうございます」
こうしてこの日私は、とても充実した一日を過ごしたのだった――。
「ドナ、これでどうかしら?」
そして訪れた、次の夜会当日。
私は早速先日ビューティーフロントで買った新作コスメを使って、メイクをしてみた。
「わああああ!! とっっってもお綺麗ですお嬢様ッ!! まるで天使様が地上に降臨されたみたいですわッ!」
「ふふ、大袈裟ねえ、ドナは」
でも、ハッキリ言って今日のメイクは自信作だ。
やはりあの美容部員さんが仰ったように、自分に合った色を選ぶのが肝要だったみたいね。
――メイクの世界って、まだまだ奥が深いわ。
「あ、もうこんな時間! ドナ、急いで馬車を準備して!」
「は、はい、お嬢様!」
今日こそは、遅刻するわけにはいかないものね!
私は最後にもう一度だけ鏡でメイクを確認すると、自室を後にした――。
「遅いぞコーデリアッ!! 何度も同じことを言わせるなッ!!」
「――!?」
が、夜会の会場に着くなり、ジェイコブ様から怒号が飛んできた。
ジェイコブ様は左腕に嵌めている腕時計を、右手の人差し指でトントン叩いている。
そ、そんな……。
「あ、あの、集合時間は、5時50分ではなかったでしょうか?」
まだ時間は5時45分。
一応5分前には着くようにしたのに……。
「だったら何だ? 普通5時50分に集合と言ったら、女である君は30分前には着いて、男である僕を出迎えるのが常識というものだろうが」
「――!」
あ、あぁ……。
「しかもあれだけ言ったにもかかわらず、性懲りもなくそんな薄汚い化粧までして。ほとほと君には呆れたよ」
なっ!?
う、薄汚い、ですって――!
「――そんな言い方はないじゃありませんかッ!!」
その時だった。
震える拳を握りしめながら、ドナがジェイコブ様に喰って掛かった。
ド、ドナ……!
「いくら何でもあんまりですッ! お嬢様は物じゃないんですよ!? どうしてもっと、未来の妻となる人のことを尊重してあげられないのですか……!?」
ドナはボタボタと、大粒の涙を流している。
嗚呼、ドナ――!!
「フン、如何にも下賤なメイド風情が考えそうなことだな。――だが、この僕に盾突いた以上、身の程をわからせてやらないとな」
「っ!」
この瞬間、ジェイコブ様の瞳が、ギラリと嗜虐的に光った気がした。
「オイ、コーデリア、今すぐ君が決めろ。このメイドをこの場でクビにするか、それとも僕との婚約を破棄するか、をな」
「……なっ!?」
そんな――!
「こんな野良犬みたいなメイドを飼ってるような女を、ラザフォード侯爵家の嫡男である僕の妻にするわけにはいかないからな。この野良犬と僕、どちらを選ぶか決めろ。今すぐにだ」
ジェイコブ様は左腕に嵌めている腕時計を、右手の人差し指でトントン叩く。
「お、お嬢様、今までお世話になりました……」
「ドナ……!」
ドナは肩を震わせながら、私に頭を下げた――。
クッ――!
この瞬間、私の中で何かが弾けた――。
「――私は、ドナを選びます」
「っ!? お嬢様!?」
私はドナの手を握りながら、ジェイコブ様と相対する。
「ふうん? つまり僕との婚約は破棄してもいいってことなんだな?」
「――ええ、私の大切なドナを傷付けるような人とは、とても夫婦になれるとは思えませんから」
「お、お嬢様ぁぁぁ」
滝のような涙を流すドナの頭を、私はそっと撫でる。
――私がバカだったわ。
本当はもっと前から、こうすべきだったのよ――。
「フンッ! イイ度胸だな!? 我がラザフォード侯爵家に逆らったことを、一生懸けて後悔させてやるから、楽しみにしておけよッ!」
ジェイコブ様が額に青筋を立てながら怒鳴る。
――ええ、受けて立つわよ。
私にはドナとメイクという、心強い武器が二つもあるんだもの。
どんな嫌がらせをされようが、絶対に負けるもんですか!
「ハハ、これは僥倖だ。じゃあたった今コーデリア嬢は、フリーになったってことでいいんだよね?」
「「「――!!」」」
その時だった。
一人の豪奢な衣装に身を包んだ男性が、私たちの前に現れた。
「あ、あなたは――!?」
その人は他でもない、先日のビューティーフロントで、私にメイクを教えてくれた美容部員さんだった。
な、何故この方がここに……!?
しかもその格好は、まるで――。
「アァン? 何だ貴様は? ん? でもその顔、どこかで……」
「コイツは私の弟の、ハワードだよ」
「「「――!?!?」」」
美容部員さんの隣に、同じく豪奢な衣装を着た男性が立ち、美容部員さんの肩に手を置かれた。
こ、このお方は、第一王子であり、王太子殿下でもあらせられるアルバート殿下――!!
「なっ!? ハ、ハワード殿下!? こ、これはこれは、とんだご無礼を! お顔を存じ上げなかったものですから……!」
ジェイコブ様がダラダラと冷や汗を流しながら、深く頭を下げる。
――そう、第二王子のハワード殿下は、滅多に人前に出ないことで有名で、そのお顔を実際に見た人間は、貴族でもほとんどいない。
まさか美容部員さんが、ハワード殿下だったなんて……。
どうりでハワード殿下のお顔に、既視感があったはずだわ。
アルバート殿下とハワード殿下は実のご兄弟だけあって、お顔がそっくりだもの。
アルバート殿下には夜会で何度かご挨拶させていただいたことがあったから、ビューティーフロントでハワード殿下のお顔を見た時に、どこかで見たことがあるような気がしたのね。
まあ、『氷の王子』の異名を持つ、クールなお顔をされているアルバート殿下とは対照的に、ハワード殿下はヒマワリみたいな眩しい笑顔をされているので、気付けなかったのもさもありなんといったところだけど……。
と、ところで今ハワード殿下、私がフリーになったことを、僥倖だって仰いませんでした??
「――コーデリア嬢」
「は、はい!?」
ハワード殿下が蕩けるような笑みを浮かべながら、私の目の前に立たれた。
その笑顔があまりにも美しくて、私の胸がトクンと一つ跳ねた――。
「実は俺、毎回変装しながらコッソリ夜会には参加してたんだ」
「えっ!?」
そ、そうだったのですか!?
「一応これでも王族だからさ。参加は義務付けられてて。でも挨拶回りとかするのはメンドかったから、身分は隠してたんだ。――俺の夢は、あくまで一流の美容部員になることだから」
「ハワード殿下……」
ハワード殿下は、少年みたいに瞳をキラキラ輝かせている。
ふふ、本当にメイクがお好きなのですね、殿下は。
「……でも、今から一年くらい前の夜会で、偶然君のことを見掛けた時、俺は雷に打たれたような衝撃を受けたんだ」
「…………え?」
ハワード殿下が燃えるような情熱的な視線を向けながら、私の右手を両手で握られる。
ハ、ハワード殿下???
「――君のことを見ていたら、何故か心臓がドクドクとうるさくて、自然と君を目で追っている自分がいた」
「ハワード殿下……!」
突然のハワード殿下からの告白に、全身がカッと熱くなる。
あわわわわ……!?
い、今私の身に、いったい何が起こっているのッ!?
「それ以来、毎回俺は夜会で君をコッソリ観察するようになったんだ。君は見た目だけじゃなく、周りに対する気遣いも完璧で、俺はどんどんと君の虜になっていった……」
ハワード殿下はまるで女神を目の前にしているみたいに、ウットリされている――。
これ、本当に私の話???
あまりのことに、まったく実感が湧かないのだけれど???
「――だから先日のビューティーフロントで、君が俺のブースに来てくれた時は、運命を感じたよ。――これは神様のお導きに違いない、ってね」
「っ!」
ハワード殿下が、パチリとニヒルにウィンクを投げてくる。
はうッ!?
「……だから今日に限って、珍しく王族として出席すると言い出したのか。まったく、お前らしいな」
アルバート殿下がやれやれとでも言いたげなお顔で、軽く首を振られる。
だがその瞳は慈愛に満ちていて、弟に対する確かな愛情が感じられた――。
「ハハ、まあそう言うなよ兄貴。――でも、さっきの啖呵はマジ痺れたよ。改めて惚れ直したよ」
「ほっ!?」
惚れ!?
「君は今さっき、フリーになったんだよね? だったらもう、堂々と求婚していいってことだよね」
「ハワード殿下……」
あ、あぁ……。
「――俺は君が好きだよ。どうか俺と、結婚してくれないかな。そして結婚したら毎日、君のメイクは俺にやらせてほしい」
「――!」
ハワード殿下の真っ直ぐな瞳を見ていたら、私の心臓が自分のものじゃないみたいに、ドクドクと早鐘を打ち始めた。
嗚呼、ハワード殿下――!
「ま、待ってくださいッ!」
「「「――!」」」
その時だった。
ジェイコブ様が震える声で、割って入ってきた。
ジェイコブ様……?
「僕はまだ、その女との婚約破棄に応じたわけではありませんよ! どうしてもと言うなら、相応の慰謝料をいただきませんとねッ!」
なっ!?
こ、この人は――!
この期に及んで!
そちらから婚約を破棄すると言ってきたクセにッ!
「あのさぁ、『その女』って言い方、やめてくんない? 俺の大事な人なんだからさ」
「っ!?」
ハワード殿下が氷のように冷たい瞳で、ジェイコブ様を射抜く。
お、おぉ……。
よもやハワード殿下って、意外と愛が重いタイプなのでは……??
「それに確かに俺は聞いてたよ、アンタがコーデリア嬢との婚約を破棄するって言ったのをさ。しかも『我がラザフォード侯爵家に逆らったことを、一生懸けて後悔させてやるから、楽しみにしておけよッ!』なんて、ドヤ顔で脅しまでしてたよね?」
「そ、それは……!」
ジェイコブ様がこれでもかと目を泳がせながら、ガタガタと奥歯を鳴らしている。
……哀れね。
「兄貴も聞いてたよな?」
「ああ、この耳でしかと。――弟の婚約者になるかもしれない人への卑劣な脅し。王太子として、とても看過してはおけんな」
「ヒッ……!?」
氷の王子の氷の視線が、ジェイコブ様を射抜く。
おぉ、やっぱり血の繋がった兄弟だわ、このお二人。
「も、申し訳ございませんでしたぁ!! 僕が間違っておりましたぁ!!」
ジェイコブ様はその場で、床に頭を擦りつけるくらい、深く土下座した。
ジェイコブ様……。
「うん、わかればいいんだよ。――コーデリア嬢、返事は今すぐじゃなくてもいいんで、じっくり考えてくれないかな?」
「――!」
ハワード殿下が私の右の手の甲に、チュッとキスを落とす。
はわわわわわ……!?
「わあああああん、お嬢様、おめでとうございますうううう!!!」
ドナが号泣しながら、パチパチと拍手をして私を祝福してくれる。
ふふ、ドナの中では私はもう、ハワード殿下と結ばれることになってるみたいね――。
――でも、私も何となくそんな予感がする。
だって既に私の心はこんなにも、ハワード殿下のことでいっぱいだから――。
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