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第15章: 持続の未来 ~クリーン移行~

 王都の空に、再び青空が戻ったその日、人々は、あかりを「光の聖女」として称えた。

 王族や貴族たち、そして一般市民が、彼女の周りに集まり、感謝の言葉を述べた。

 あかりは、その言葉に戸惑いながらも、その温かさに、胸を満たしていた。

 ユリウスの塔、そして兄ライネルトが残した汚染は、あかりの新しい力──愛とアルゴリズムの融合──によって、浄化された。

 王都の魔力汚染は、わずか数日で浄化され、植物が再び芽吹き始めた。

 だが、あかりの心には、安堵と共に、新たな使命感が芽生えていた。


「アリア、王都の汚染が再発しないように、浄化アルゴリズムを継続的に稼働させて」

 あかりが指示を出すと、AIインターフェースは、淡い光を放ち、王都の地下深くに、浄化のネットワークを構築していく。

 それは、ただ汚染を浄化するだけではない。

 魔力汚染の進行を常に監視し、再発の兆候があれば、すぐに警告を発するシステムだった。


 そして、王都の改革は、即座に始まった。

 ライアンは、追放された王子から、この世界の救世主として、王位に返り咲いた。

 彼は、あかりと共に、新しい法律を制定していく。

 その法律の名は、『環境保全法』。

 魔鉱石の採掘量を制限し、汚染物質の排出を厳しく取り締まる法律だった。


 しかし、その法律に反発する貴族たちがいた。

 彼らは、ライネルトと共に、魔鉱石産業で莫大な利益を得ていた者たちだ。

 彼らは、あかりの前に集まり、詰め寄った。

「馬鹿な真似はよせ! この国の経済は、魔鉱石産業で成り立っているのだぞ!」

「聖女などと祀り上げて、何を企んでいる! 我々の利益を奪うつもりか!」

 彼らは、権力と金に目が眩み、この世界の汚染を、見て見ぬふりをしてきた。

 あかりは、彼らの言葉に、静かに、そして悲しげに、首を振った。


「あなたたちの利益は、この世界の未来を犠牲にして得られたものです。もう、二度と、この世界を汚させません」

 あかりの言葉に、貴族たちは、怒りに満ちた顔で、彼女に詰め寄ろうとした。

 しかし、その時、ライアンが、彼らの前に立った。

「私と共に、この国を立て直す気がないのであれば、この王都から、即刻、出ていけ。これ以上、この国を汚すことは許さん」

 ライアンの声は、静かだったが、その瞳は、王としての威厳に満ちていた。

 貴族たちは、ライアンの言葉に、反論することができなかった。

 彼らは、静かに、そして悔しそうに、王都を去っていった。

 ザマァという言葉は、誰の口からも発せられなかった。

 ただ、彼らの姿が、二度とこの世界の歴史に名を残すことはないという、静かな、そして確実な、結末だった。


 その日の夕暮れ、あかりは、エルド、ガイル、レオン、そしてライアンと共に、城壁の上から、王都の街並みを眺めていた。

 街には、再び人々の活気が戻り、子供たちが笑い声を上げ、走り回っていた。

 空には、浄化の光が、穏やかに降り注いでいる。

 エルドは、静かに、あかりの隣に立った。

「森も、徐々に回復している。これも、全て、君の浄化の光のおかげだ」

 ガイルは、満足そうに、王都を見下ろしていた。

「俺は、あかり殿と共に、この世界を救うことができた。これ以上の、叡智はない」

 レオンは、あかりの護衛として、彼女のすぐ後ろに立っていた。

「故郷は、まだ遠い。だが、いつか、この王都のように、緑でいっぱいになるだろう」

 ライアンは、静かに、あかりの手を握った。

「あかり殿……君は、この世界の全てを変えた。そして、私の、全てを変えてくれた」


 あかりは、彼らの言葉に、静かに微笑んだ。

 彼女は、前世で、過労で命を落とした、ただのAIエンジニアだった。

 しかし、今世では、かけがえのない仲間たちと、この世界を救うことができた。

 彼女がもたらした「アルゴリズム」は、ただの技術ではない。

 それは、この世界を、持続可能な未来へと導くための、新しい道標だった。

 あかりは、彼らの温かさに包まれ、この世界に、本当に、自分の居場所を見つけたのだと、感じた。

 愛とアルゴリズムの融合は、この世界の未来を、そして、彼女自身の未来を、明るく照らしていた。

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