ドゥームクロウラーとの戦い
虫型の魔獣は6本の節足をうねらせ、不快な音を響かせている。その鋭い顎からは毒液が滴り落ち、周囲には異臭が漂う。
戦っているのは4人で構成された小隊。
前衛の盾兵と槍兵が懸命に敵の攻撃を防ぎ、後方では弓兵が隙を狙って矢を放っている。さらに、その中央には魔法使いらしき若い少女がいて、緊張の面持ちで呪文を唱えていた。
しかし、明らかに彼らは劣勢だった。
Glowのセンサーは瞬時に戦況を把握、
小隊の攻撃は虫型魔獣の硬い甲殻に弾かれ、逆に吐き出される毒液にじわじわと追い詰められている。
「目標:虫型魔獣の排除。対象をドゥームクロウラーと呼称」
冷静な判断を下したGlowは、外装ホログラムを維持しながら戦場へと駆け込む。
Glowがドゥームクロウラーに接近した瞬間、敵もまたその存在を察知した。巨大な複眼がGlowを捉え、不気味な鳴き声を上げながら鋭い足を振り上げる。
小隊の盾兵が叫んだ。
「おい!そこは危険だ、逃げろ!」
だが、Glowは返事をせず、速度を落とす事も無い。
その姿に驚きと不信を抱きながらも、彼らは態勢を整える事を優先した。
一方Glowは合金製の片刃サーベルを右手に展開、
エネルギーを送り込み静かに白熱させる。
「何だ、あの武器は…」
弓兵が呟くが、答えられる者はいなかった。
ドゥームクロウラーが甲殻を震わせ、背部から鋭利な針をGlowへ向けて発射した。毒素を含んだ針が猛烈な速度で迫るが、Glowは寸分の狂いもなくその軌道を読み、わずかに身体を傾けてかわす。
そこから一気にスラスターを使い間合いを詰め、
ドゥームクロウラーの脚部に切り込む。サーベルの刃が硬い甲殻を切り裂き、黒い体液が飛び散った。
「標的の機動力を低下させる。」
小隊の4人がGlowの圧倒的な速度やその手に持つ光る剣に慄く中、当の本人は極めて冷静に判断を下し、連続で攻撃を繰り出していた。