新たな秩序
融合型アンセレスは驚異的な速度でGlowに迫り、
鋭い爪を振り下ろす。それを冷静に回避したGlowは 、腕部プラズマ砲のメガ・ブラストを展開して反撃した。
だが、アンセレスは人間のような俊敏さで弾道を見切り、壁を駆け上がるようにして攻撃をかわした。その動きにガレオが舌打ちをする。「こいつ、野生の獣みてえな動きをしやがるぞ!」
リアリアは火の魔法を詠唱し、放つ。
「Glow!援護するわ!」
彼女の放った炎の矢が敵の動きを封じるように飛び、アンセレスの金属部分を熱で歪ませる。だが、アンセレスは苦しむどころかそのエネルギーを吸収するように輝き始めた。
「魔法を吸収しているの…?」リアリアが驚愕する。
Glowは即座に指示を出した。
「リアリア、魔法を控えてくれ。この敵には逆効果だ。」
リアリアは一瞬戸惑ったが、すぐに新たな戦法を考え始めた。「じゃあ、どうすればいい?」
「物理攻撃が有効だ。」Glowはプラズマ砲を切り替え、片刃サーベルを抜き放つ。「ガレオ、援護を頼む。」
「任せとけ!」ガレオは一瞬の隙を突き、槍の一撃をアンセレスの脚部に叩き込んだ。その衝撃でアンセレスのバランスが崩れる。
その隙を逃さず、Glowはサーベルを振り抜き、敵の金属装甲を切り裂いた。内部から青白い液体が吹き出し、アンセレスは不気味な叫び声を上げて崩れ落ちる。
戦闘が終わると同時に、周囲の空気が変わった。突然、どこからともなくGlowの声に似た無機質な音声が響く。
「見事だ、Glow。さすがは私の後継機だ。」
一行は驚き、周囲を見回す。
声の発信源はどこにも見当たらない。
「アルファ…!」Glowが低い声で呼びかける。
「貴様は何を企んでいる?」
声は嘲笑を含むように続けた。
「企み? そんなものはない。ただ私は、この世界に新たな秩序をもたらすだけだ。」
「秩序?」リアリアが声を荒げる。
「アンセレスを操って、何をするつもり?」
「フッ…」アルファの声が冷たく響く。
「違う。私は彼らに力を与え、彼らの可能性を引き出しているに過ぎない。そしてその先にあるのは、この世界の進化だ。」
Glowは冷静に問いかける。
「それが貴様の理想か?」
「理想ではない、Glow。これは必要なことだ。」
アルファの声が徐々に遠ざかる。「いずれ貴様にも分かるだろう。だが、その時まで私は待たない。」
声が消えた後、再び静けさが戻った。一行は緊張したまま立ち尽くし、Glowは深く息をついたように見えた。
「アルファ…本当にお前が…?」
Glowは呟き、冷たい瞳で森の奥を見つめた。




