転移と目覚め2
暫定的に 魔力 と名付けたエネルギーの分析を
続けながら、Glowは周囲の環境を調査し始めた。
センサーが広範囲にわたりデータを収集し、
彼の高性能な頭脳に直接送られる。
岩陰に隠れた小動物、遠くで風に揺れる枯れ木、
そして…不穏な音。
金属がこすれるような音と、人間の叫び声。
それは彼から数百メートル先、
小高い傾斜の向こう側から聞こえてきた。
「未知の生命体の行動を確認。戦闘発生の可能性…極めて大」
Glowは判断を下す。
この世界の情報を得るには、まず接触が必要だ。
外装ホログラムを起動し、人間の青年の姿を模した彼は、音の方向へと歩みを進める。
道中、Glowのセンサーが不穏な兆候を捉える。
前方に生命反応と共に高濃度の魔力を持つ存在。
その大きな影が蠢き、何かを追い詰めているようだ。
「敵対する可能性の高い存在を確認…全長約5M、全幅1.5M」
彼の目の前に広がる荒地で、巨大な虫型の生物が数人に襲い掛かっているのが見える。
それは甲殻に覆われ、
鋭い顎と一対の羽を持つ怪物だった。
Glowは短い計算の末、結論を下す。
「戦闘への介入を開始。駆除対象を魔獣と仮称」
外装ホログラムを維持したまま、彼は戦場へと足を踏み入れた。




