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未知なる力の研究

フレア・ハイドラとの激戦が幕を閉じた後、

少しの休息を挟んだ一行は再び任務に就いていた。

冷たい月明かりが野営地を照らす中、Glowは静かにリアリアとガレオが眠る姿を見下ろす。野営の焚き火は小さな赤い輝きを保っており、風に揺れる火の粉が宙を舞って消えていく。その光景は美しく、しかし彼の思考を離れることはなかった。


「魔法…エネルギーの発生源は不明だが、応用性と効率は現実世界の物理法則では説明しがたい。」

Glowは自らのデータベースに保存された戦闘記録を呼び出した。先日リアリアが放った炎の魔法「インフェルノ・バースト」。周囲の空気を圧縮して一瞬にして爆炎を生み出す力。そのエネルギー収支は理論的に不可能なものだった。


彼は指先から微細なスキャナーを展開し、周囲の空気を分析する。痕跡を探すが、魔法に使用される「魔力」と呼ばれるエネルギーの直接的な痕跡は検出できない。全ては未知数。


その時、リアリアの声が背後から響いた。


「Glow、何をしているの?」

目を覚ましたリアリアが、Glowの肩越しに彼の作業を覗き込んでいた。


「君が使用する魔法を理解しようとしている。」

Glowは作業を中断せず、淡々と答えた。

「これを理解すれば、私にもその力を応用する可能性が生まれる。」


リアリアは驚いたように眉を上げる。

「Glow、魔法は数字とか理論だけじゃ扱えないわ。感覚や心で感じるものなのよ。」


「心?」Glowはその言葉を反復した。彼にとって「心」とは定義できない曖昧な概念だった。


「そう。例えば、炎の魔法を使うときは、炎をどう動かしたいかを想像して、それを心で形にするの。」リアリアは手を広げて、小さな火の玉を作り出す。「これは熱や光を出すだけじゃない。私はこの火に私の意志を込めているのよ。」


Glowは火の玉を観察し、その中に流れるエネルギーの動きを計測しようと試みたが、解析はできなかった。


「興味深い。」Glowは静かに答えた。「しかし、君の言う感覚や意志といったものは、現状の私には存在しない。よって、別の手段で再現する必要がある。」


リアリアは少し笑った。

「なら、私が教えるわ。感覚を掴む方法をね。」


その時、焚き火のそばで寝ていたガレオが大きなあくびをして目を覚ました。

「何だ、まだ夜中か?」彼はぼんやりとした目で二人を見てから、少し笑って言った。「Glowが火魔法でも学ぼうってのか?もう充分強いんだからいいだろ。」


「笑い事ではない。」Glowは即座に反論する。

「君たちが使う魔法は、未知のエネルギー源を応用している。これを理解すれば、私の能力の向上に繋がる可能性がある。」


ガレオは肩をすくめた。

「まあ、好きにやれよ。ただ、魔法ってのはそう簡単に覚えられるもんじゃないからな。」


リアリアは腕を組み、Glowに向き直った。

「まずは小さなことから始めましょう。Glow、炎をイメージしてみて。温かさや動き、形を思い描いて。」


Glowは言われた通りに、自らのデータバンクを活用して炎の物理特性を詳細にシミュレートする。しかし、目の前には何も現れない。


「違う、そうじゃない。」

リアリアは苦笑しながら言った。「Glow、それは表面上のものよ。もっと、直感で捉えるのよ。」


「直感…。それは非効率的なプロセスだ。」

Glowは眉をひそめるような仕草をしながら答えたが、次第にリアリアの言葉の意味を考え始める。そして、試しに再度「炎」という概念を直感的に捉える努力をした。


その瞬間、彼の手のひらから小さな赤い光が生じた。わずかだが、それは炎に似た輝きだった。


「わっ!見てガレオ!」リアリアは歓声を上げ、

「ほんとにやりやがった!」ガレオも驚きの表情を浮かべた。


しかし、その輝きは瞬く間に消えてしまう。

Glowは冷静にその結果を記録し、言った。

「今の現象は不安定だった。しかし、再現可能なプロセスを構築すれば、このエネルギーを利用できる。」


リアリアは笑顔を浮かべ、Glowの肩に手を置く。

「おめでとうGlow、最初の一歩よ。これからもっとたくさん学んでいけばいいわ。」


焚き火の明かりが再び二人を包み込む中、Glowはその小さな成功を胸に、自らの次なる目標を設定した。それは「未知なる力」の完全な解明、そしてそれを自分の力に統合することだった。

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