決戦!フレア・ハイドラ
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夜明け前の薄暗い谷に、じわじわと炎の熱気が漂う。不気味で巨大な影とともに、フレア・ハイドラの低い唸り声が辺りに響き渡った。その姿は蛇と龍を融合させたような形状で、炎を纏う六つの首がうごめいている。
Glowは視覚センサーを最大に活用し、敵の動きを分析していた。リアリアの隣では、槍を握るガレオが険しい表情を浮かべている。彼の後ろには、街ギルドのメンバーである弓兵と戦士たちが身構えていた。
「全員、準備を整えろ。奴が動き出すぞ!」
と、ガレオが指示を飛ばす。
リアリアがGlowを見上げ、努めて明るく微笑む。
「Glow、作戦通りいけるわよね?」
「問題ない。敵の動きと熱源パターンは予測済みだ。」
突然、フレア・ハイドラが咆哮を上げる。討伐隊に気付いたのか、その六つの首から一斉に炎のブレスが放たれ、地面が焼け焦げ、空気が歪む。
「炎よ、我らを包む無力な熱となれ!《フレイム・ヴェール》!」
光の膜がリアリアと仲間たちを包み、ハイドラの炎が弱まっていく。だが、Glowには防護魔法が効きにくい事をリアリアは感じ取っていた。
「Glow! 直撃は避けて!」
「問題ない。」
Glowは冷静に答え、すでに突進していた。
ハイドラの首が一つ、Glowに向かって鋭く突き出される。彼はその動きを正確に見切り、瞬時にスラスターを噴射。爆発的な速度で跳躍し、ハイドラの背後に回り込む。
「ガレオ、左の首を頼む!」
Glowが指示を飛ばす。
「任せろ!」ガレオが槍を構え、跳びかかる。彼の槍がハイドラの首に突き刺さり、苦悶の咆哮が森に響いた。
一方で、ギルドの弓兵たちが矢を次々と放つ。矢はハイドラの胴体に突き刺さるが、それだけでは致命傷には至らない。
「Glow、胴体の中心を狙って! あそこが弱点よ!」
リアリアがGlowに指示を飛ばす。
「了解。」
Glowは腕部ユニットを展開し、「メガ・ブラスト」をチャージし始める。だが、その瞬間、ハイドラの首がGlowに迫る。
「危ない!」リアリアが叫ぶ。
Glowはその場からわずかに後退しながら、メガ・ブラストを撃つ。青白いエネルギーの塊がハイドラの首を2本まとめて吹き飛ばし、黒煙が立ち上る。
しかし、ハイドラの再生能力は驚異的だった。吹き飛ばされた首がゆっくりと再生し、Glowを威圧するように持ち上がる。
「リアリア、再生を止める方法はわかるか?」
Glowが尋ねる。
リアリアは短く息を呑み、記憶をたぐるように言葉を紡ぐ。
「再生の魔法陣が体内にあるはず。それを破壊しないと終わらない!」
Glowはその情報を受け取ると、分析を開始する。各種スキャンにより、ハイドラの胴体内部に微弱なエネルギー反応を検出した。
「見つけた。」Glowは冷静に宣言すると、
胸部プラズマ砲「ギガ・ブラスト」を起動する。
「Glow、俺たちが時間を稼ぐ、撃つ準備を!」
ガレオが敵の足元に突進し、槍を叩きつけた。ハイドラが怒り狂い、首を振り回す中、リアリアがもう一度魔法を唱える。
「燃え盛る炎よ、敵を縛る鎖となれ!《フレイム・バインド》!」
炎の鎖がハイドラの胴体を締め上げ、一瞬だけ動きを封じる。その隙を突き、Glowが集束していたエネルギーを解放する。
「ギガ・ブラスト、発射。」
眩い閃光が深い谷を照らし、ハイドラの胴体を貫いた。視界全てが揺れ、轟音が響き渡る。ハイドラの咆哮が途切れ、ゆっくりとその巨体が崩れ落ちた。
Glowは冷却システムを作動させ、静かに立ち上がる。ガレオが槍を肩に担ぎ、汗を拭いながら笑った。
「ふぅ、なんとか勝ったな。だが、お前の攻撃力には毎回驚かされるよ。」
リアリアは微笑みながらGlowに歩み寄った。
「Glow、ありがとう。あなたがいなかったら、決定力に欠ける私たちじゃ勝てなかったはずよ。」
「感謝は不要だ。」Glowはあくまで冷静に答えたが、その言葉にはどこか温かさが含まれていた。
彼らの背後では、谷に再び静寂が訪れていた。燃え尽きたハイドラの向こうに、朝日が差し込んでくる。
「さて、この次はどんなアンセレスが待っているんだろうな。」ガレオの言葉に、リアリアとGlowは静かに頷いた。