崩壊する世界
空は鉛色に曇り、重たい雲が垂れこめている。太陽の光はほとんど届かず、地平線を越えて濁った雨が降り注いでいた。破壊された都市の景色が広がり、酸性雨が焦げたコンクリートに線を引いている。焼け焦げた車の残骸や、ひび割れた道路が争いの爪痕を物語っている様だ。
その荒廃した風景に響く、震動とともに現れるのは巨大な影だ。百メートルを超えるその生物は、まさに「超生物」とも呼ぶべき存在だった。Gと呼ばれるその怪物は、体全体を覆う強固な黒鱗に加え、紅蓮のように燃える眼を持つ。動く度にその足元が地面を揺さぶり、辺りの建物を崩壊させる。
Glowは無言で巨大な敵を見つめていた。その視線は一切の感情を含んでいない。システムは完璧に稼働しており、戦闘の準備は整っている。
「目標の識別完了。Gタイプ超生物。推定戦闘能力:計測不能。」
Glowに搭載されたAIが冷静に分析を終え、戦闘準備完了を通知する。しかし、内包されたニューラルネットワークは、その「計測不能」という結果に一瞬の疑問を抱いた。
「戦闘開始、目標を排除する。」
Glowは決断を下し、戦闘に突入する。右腕が機械的に動き、プラズマ砲「メガ・ブラスト」が一気にエネルギーを収束させる。
「メガ・ブラスト、発射!」
白熱したエネルギーがGの胸部に直撃する。その衝撃でGの体が揺れるが、黒鱗はほとんど傷つかない。それどころか、赤く光る瞳がGlowを睨み返し、凄まじい怒声を上げる。
「破壊力不足。次の攻撃プランを選択。」
Glowは即座にミサイルランチャーを展開し、無数のマイクロミサイルをGに向けて発射する。それぞれが高精度でターゲットを捉え、Gの体に爆発を引き起こす。しかし、Gは再生能力が異常に高く、すぐに傷を癒していく。
「再生速度:異常。戦闘継続。」
Glowは次に、合金製の片刃サーベルを両手に構え、接近戦を挑む。Gの尾が迫り、激しい衝撃が響く中、その一撃をギリギリで避けたGlowは、空中に飛び、さらに高出力のプラズマ砲を発射する。
爆発の後、Glowは静かにデータを収集する。戦闘の効率性が低下しつつあることを認識し、次の戦術を練り始める。だがその時、Gの攻撃が突然変化する。