旅立ちの前の挨拶
うわーーーーー。
僕は大声で悲鳴を上げた。
「そんなに怖がらなくていいのよ。大丈夫。安全だから」
風の風圧で目が痛い。目を瞑るしかない。
しばらく目を瞑っていると、着いたよ。という声がした。目を開けると目の前には王城が立っていた。
「門番、門を開けなさい。私が帰ってきた」
姫さまがそういうと門番はすぐに王城の門を開けた。
「少し私の部屋に寄ってくわよ。アレンに渡し忘れてたものがあるから」
「渡したいものって何?」
「渡してからのお楽しみ。そっちの方が楽しいでしょ。さあ、着いたよ。ちょっとまってて。探してみるから」
ガチャ
姫さまがドアを開けた。
するとそこの部屋はとても散らかっていた。
「アレン、あまり歩かないでね。呪いの道具とか作ってた時に失敗していた失敗作とかがあるから気おつけてね」
僕に笑顔で行ってきた姫さまはにっこりと笑って僕に言った。
「お、おいアレ坊、この部屋には入るな。この部屋は魔界に入った時くらいにやばい雰囲気がしてやがる。多分その呪いの道具なんもあの姫さんのことだからよっぽどろくでもないやつ作ってやがるぜ」
どうやら紅は少し姫様のことを恐れてるようだった。
「ち、ちなみになんだけどなんの呪いの道具を作っていたの?」
恐る恐る聞いてみた。
「アレンが私のことを愛すようになる魔道具を作ってたのよ」
「やっぱりろくでもないことを考えて嫌がった。やっぱりやべえやつじゃねえかよ」
ボソッと紅がつぶやいた。
「少しうるさいわね。そんな剣はアレンに似合わないんじゃない?」
姫様が聞いてきた。
すると紅は驚いた。
「こ、この姫さん俺の声が聞こえるのか?適合者だけしか聞こえないはずなのに…………」
姫さまは動揺せずに言った。
「別に適合者じゃ無くても聞こえるわよ。資格があればどうとでもあるのよ」
資格ってなんだろう。まあ、この姫さまだし分からないことがあっても同然か。
僕はあまり考えないことにした。
僕は姫様の部屋を見渡した。この部屋の散らかっているところさえなければちゃんとした女の子の部屋なのにと考えていると散らかっている床に4つのアクセサリーを見つけた。なにこれ?と思ったときに
「アレン、見つけたわよ。はいこれ」
姫さまは僕に剣の鞘を渡してきた。
「昨日慌てて作ったのよ。一様どこにいるか分かるようにしているから大丈夫。それとこの鞘はあなたのお父さんが本気で壊そうとしても壊さないから安心して使っていいよ」
姫様から鞘をもらったので王様がいる広間に向かった。
歩いてる途中に宰相に会った。
こんにちはとお辞儀をすると
「これはこれは、勇者様の御子息じゃないですか。お久しぶりです。旅に出るんで?そうでしたら、少し遠いエルフの国、ヴァザリーネなどどうですか?あそこなら姫様が一度訪れたことがあるので私たちもよくわかりますよ。あ、陛下のところに行くんでしたね。陛下が広間でお待ちです」
宰相はそれだけ言って立ち去って行った。
アレンは王室に向かって行った。
「王様、王妃様をいつまで野放しにしておくつもりですか?とある国から苦情が来ています。内容は聞きたくないでしょうがあなたも大体想像つくでしょう。いい加減一度呼び戻してください。私が何度謝りに行ったことか。王様にわかりますか?あなたも大変ですね。と謝る度にその国の王様に言われる気持ちが。もう、気持ち的にも大変なんですよ。考えただけであー恐ろしい」
「わかっておる。そろそろ帰ってくる頃じゃろう。ワシには何度か妻のところに行ったが迷惑なことはしてなかったぞ。大丈夫だろう」
話し合いの最中だった。そういえば姫様の母さんって小さい頃しか会ったことがないんだよな。確か王妃様って父さんと一緒に魔王討伐をした勇者パーティーの一員だったよな。
「アレンくん。きたか。」
「あ、王様、話を紛せましたね!このことはあとでまた話し合いますよ」
「いやー助かった。アレンくんが来なかったら妻を本当に呼び戻さなくてはいけなかったよ。」
しばらく沈黙が続いた。
「それでここにきたのは挨拶かね。昔は、あんなおとなしかったのに、やはり血筋じゃな。アレンくんのお父さんも昔一人旅をよくしていた。そのうち魔物が出てきて旅を続けることができなくなったらしいけど、
まあ、ぶっちゃけた話勇者になった理由は最初は旅ができなくなるというくだらない理由だったんじゃ。おっと、こんな話している場合じゃないの。アレンくん、私が昨日行ったことを覚えているね?」
陛下が真っ直ぐ僕の顔を見て尋ねた。
「はい。もちろんです。これからの旅が楽しみです」
「そうか、ならいい。もう下がって良いぞ。旅には気をつけての。あと妻に会ったら伝えといてくれ。例の件は任せたぞ。近々始まりそうだと」
「わかりました。もし王妃様にあったら伝えときます」
「もう下がって良いぞ。これからの旅気をつけるように」
僕は王城を姫様と合流したあと出た。
「それじゃあ、私に任せなさい。楽しくなるように運んであげるわ。それじゃあ、レッツゴー!」
姫様が走り出す。
「え?ちょ、ちょっと待っ、うぎゃーーーーーーーー」
僕は姫様の早さに感服したと同時にもう二度と送り迎えを頼まないことを胸に誓ったのであった。
「お、アレン、おつかれ。その様子じゃあ姫様にしっかり運ばれたようだな。まあ、これから長い付き合いになるんだから慣れておいた方がいいぞ」
父さんがまだ家にいた。
「とうとうこの時が来たか………」
懐かしいという雰囲気を出しているようで悪いが、僕は急いで旅の荷物を用意しなければいけなかった。
「ごめん父さん、その話は用意がし終わったら聞くよ」
ドタバタ
ふうっ
やっと準備が終わった。
「アレン、ようやくこの時が来たのね」
母さん、父さんと同じことを言ってるけど、実は、父さんと母さんの話なんてこれっぽっちも興味なんてない。だから母さんたちには悪いけど準備が終わったならすぐに出て行くつもりだ。
「もう行くよ、姫様の挨拶も終えたところだったし、ここにいるといつまでもずっといそうだし」
こうして僕は旅に出た。