誕生日プレゼント
おめでとう!
入った瞬間大きな声で言われた。
「とうとう10歳になっちまったな。アレン、お前に渡したいものがある。ほらよ」
まとまった袋を渡してきた。
「と、父さんから何?うわ。こ、これは」
袋を開けた。
「そいつはいつも世話になってる親っさんと俺からだ。よろしく言っといてだそうだ」
「ちょっとジーク、私から渡すって決めてたじゃなあ。貴女って昔からずる賢いよね」
「まあまあ、俺のよりミレイのプレゼントの方が後に渡した方が良いと思ってな!ほら、渡して」
母さんが僕にふくろに包まれた物渡してきた。僕はワクワクしながら袋を開けた。袋の中身はマフラーだった。
そのマフラーはゴワゴワしていた。
「母さん、これ手作り?」
「うん。少し失敗しちゃったけどこれでもか!と言うくらい愛を込めて作ったわ!大切に使ってね?」
「ありがとう。大切に使うようにするよ」
「アレン、俺のはどうだ?補強剤と剣だぞ!これでいつでも襲われた時に使うことが出来る。そしてこの補強剤は、この剣になった時に真なる意思が目覚めるらしいんだ」
自信満々に言っている。
まぁどうせ眉唾だろうと思ったけどまあ、やらないよりはいいか。
「ありがとう。自分の部屋に行った時に試してみるよ!」
「ところでアレン、お前俺たちに言うことがあるんじゃないか?」
真剣な顔で父さんと母さんは僕をみていた。
「実は、僕は今日家を出てしばらく修行に行きます。だから………」
「ちょっと待て!お前が言うのはいいけどどうやってあの姫様を説得した?あの子は簡単には引き下がらなかったと思うんだが」
「それはもう説得し終わっているよ。何とか………」
修行終わったら監禁されそうと考えていると、
「アレンは私と結婚するために修行に出るんだもんね?あ、このネックレス掛けて?絶対に外さないでね。そのネックレスは監視できるようになってるから」
「ねえジーク、やっぱりアレンに依存しすぎて無い?これじゃあ私達には止めようがないわよ。姫は貴女と同じくらいかそれ以上の強さでしょ?それって不味くない?ボソボソ」
「ああ、そうだな。………不味いな。まあ、今は考えるのはよそう。ボソボソ」
「ふふふ。これでアレンを監視出来る。アレンに近づいてくる女狐をグサッと。ボソボソ」
「ま、まあアレン。明日出発だろう。幸い姫様の監視付きだ。旅の途中は安全に旅をできるだろう。明日のことは考えないて、今は飯を食べよう」
「そうね。それじゃあ」
ぱちっという音がした後突然机に沢山の料理が現れた。
「おお、やっぱりすごいな。ケーキも手作りですごいな」
「もう、ジークったらそんなに褒めても何も出ないわよ」
「さあ、食べ始めよう。取り敢えず美味しいご飯を今日は食べ始めるぞー」
ちょっと待ったー
ガチャ
「ワシを待たないとはどういうことだ?こちとら一応呼ばれた身だぞ」
陛下が来た
「あらお父様、公務はもう終わったので?終わったならさっさと席についてください」
「まあまあ、姫様もそういうなって。陛下も一応忙しい身だし、取り敢えずまた始めよう」
陛下が席に座った。
「それでは皆さん、これからのアレンの幸せを願って乾杯!」
「乾杯!」
みんなが飲み始めた。
「うめー。うめー。うめー。うめー。うめーーー」
「やっぱりジークは美味しそうに食べるのね。ふふふ、作った甲斐があるわ」
ずっといちゃついてるけどひとつ疑問があった。
それは、なぜ僕が修行に行くか誰も聞いて来ないことだった。僕としてはありがたいけど、うーん。なんか複雑な気分だ。応援されてるのか?又は心配されてないのか。
と考えていると
「そー言えばアレン、どこに行くか決めてるのか?決めてないんだったら帝都に行くといいぞ!帝都ならそんなに離れてないしほら、帝都で大会が確かあっただろ?一回出場してみれば?修行のついでにさ」
父さんはあそこ懐かしいみたいな感じで話していた。
行ったことがあるのかな?
僕はどこへ行こうかそこまで決めてなかったので、この際
「取り敢えず、行ってから考えるよ。大会はまあ、暇があれば出場するよ」
「アレンくん。ワシから一つアドバイスをやろう」
陛下が話しかけてきた。
「もし大会に出場したならば今までどういう暮らしをしてどういう物語や言い伝えがあったか聞いてみるといい。ワシも昔はやんちゃでな。聞けば聞くほど楽しい時間になるし、きっとアレンくんも有意義な時間を過ごせるだろう。しかし真実を知ったからってそこで終えてはならんぞ。真実の中にはきっと何か裏があるもんじゃからな」
「貴重な言葉をありがとうございます」
陛下の言っていることはあんまよくわからなかったが、いつかわかる時が来るだろうと思った。
僕がご飯を食べ終わって自分の部屋に戻ったとき父さんのプレゼントを開けてみた。
そこには古びた剣があった。そして補強剤も一緒に入っていた。
僕は取り敢えず剣の錆を落とさなきゃなと思って剣を研いだ。
研いだら錆が初めからなかったのかのような真紅のような色濃い光が出ている。
僕は何故かこの剣を補強剤に付けなきゃと思って、剣の全体に補強材を塗った。
すると
「うーーーーーーん。ん?ここはどこだ?おれはあのとき死んだはずじゃ?そして何だこの体は?俺様が剣になっている。この魔王を倒した伝説の勇者様と呼ばれてきた俺様が!」
剣から声が聞こえてきた。
「け、剣が喋った?」
僕は焦った。そもそもこんな喋るけんなんて存在しないに決まってるし、絶対にありえないことだからだ。
「お、おい小僧。お前俺様の声が聞こえるのか?」
「あ、ああ。確かに聞こえるけど………どうなってんだ?この剣?調べてみようかな。とりあえず金槌で打ってみよう」
「ギャー。また小僧。お前が持っている剣は一応神剣だぞ。だから叩くのをやめろ。直で叩かれてる気分になる」
「あれ?これもしかして剣の中に何か入ってるのか?いやしかし………」
考えていると
「お前なんか武器臭くないか?なんか知っている臭いがするぞ。小僧、とりあえず今持っている武器全てだせ。ちょっとみてやるよ」
なんか偉そうな態度だな。まあ声だけしか聞こえないけど。
「余計なことを考えて泣いでさっさと武器を出せ!ほら!早く!」
「さっきから小僧小僧うるさい。俺にはしっかりとした名前があるんです!両親からつけてもらえたあれんという名がね」
「そうか。じゃあ呼び方はアレンの坊主でいいな。ほらさっさと武器を出さんか」
なんか気になっているようだった。
僕は契約している武器を全て出した。
「おお!やっぱり思った通りだ。この武器にまた会あるとは割と感激だな!ああ、懐かしい」
なんか事情がありそうだからしばらく待った。
「そういえば剣って名前はあるの?なかったらつけてあげるけど」
「馬鹿野郎。いくら剣の姿だからって流石に自分の名前くらい覚えている。俺の名前は、………」
剣はあ、あれ?何だっけ?と考えているように見えた。
「じゃあ貴女の名前はうーん。紅で」
「ちょっと待て。もう少しで思い出せそうなんだ。うーん……」
「まあ、忘れちまったもんは仕方ねえ。取り敢えず明日に備えて寝ろ。そっちの方がよっぽど効率的だ。
うっ」
大量の記憶が流れてきた。それは雪崩のように一気に記憶が蘇ってきたようだった。
自分はそうだ!
もと勇者だ!
アレンの坊主に言っても混乱するだけだし黙っておくか。
こうして二人は、ベットの上で意識を手放したのであった。