剣契約
教会の洗礼が終わった後
「ムツキ、大丈夫だよ。ほら、まだ剣契約が残ってるでしょ。あとは、これから努力したらなんとかなるよ。ムツキなら大丈夫。なんたって私たちの子なんだから」
他の人から見て励ましているように見えた。
だが、僕から見て憐んでいるようにしか見えなかった。努力したらなんとかなる!なんて無責任な言葉なんだとこれほど自分を惨めに思えたのはいつぶりだろうか?
そう考えているうちに教会の隣の剣契約の間に移動した。
ねえ、あの子なんでこんなところにいるの?
さあ?職業でダメだったから剣契約で一発当ててやろうとしてるんじゃない?まあ、親が勇者と聖女じゃ一生安泰だろうよ。かー。羨ましい。これじゃあ
不公平だ。
今まであまり周りを気にしなかったせいなのかとでもとても周りの目が気になっている。
「やっぱり、職業が全てなのかな?これから努力したらなんとかなると言ってたけど現実はそんな甘くないだろうな」
教会の人が、さあ再び並んでください。女神様に剣契約の適正の可能性を調べてもらって、適正があった人は教会の秘密の場所で剣と契約してください。
それじゃあ最初の人中に入ってください。
カーテンの中へと入っていった。
あ、あれ?あの人ってたしか眠り士(特)の人じゃないか?あの人が適正あったらどんなのだろう?と考えていると
適正ありと表示されていた。
次の人が入っていった。
適正なし
ちくしょう。でも親の工房は継げそうだからいいや
次の人が入っていった。
適正あり
やったわー。これでハイスペックな人と結婚できるわ
僕の順番が来た。
適正あり
僕は素直に喜んだ。たとえ運でも親を超えられる可能性を掴むというのはやっぱり嬉しい。これからは努力しようかな。と思った矢先にあんな事が起きるとは思わなかった。
適正があった人はこちらに
適正がなかった人はご自宅にご帰宅ください。
僕は適正のあった方へ向かった。
あれ?お前、適正あったの?ちょっと意外だった。まさかお前に敵性があるとは思わなかったよ。ねえ、今どんな気持ち?昔から期待されてきたのにその期待を一気にぶち壊して、大変だったろ(笑)
しかしやっぱバカにされるのはとても悔しい。
「嫉妬か?見苦しい。昔からそうゆうやつはろくな職業につかないと決まってるんだ。どうせ君もろくな職業じゃないんだろう」
「残念ながら俺は剣聖の(特)だ。お前みたいな落ちこぼれとは違うんだよ」
僕の心に刺さった。
何をしてもやっぱりダメなのかな?そう考えていると
「お、俺の番が来たな。見てろよ!すごい剣を当ててやる」
そう意気込んで入っていった。
おっしゃーという声が聞こえた。
よほどいい剣だったのかなと思っているとようやく僕の番が来た。
僕は中に入った。辺りには、いろんな種類の剣、斧、槍、弓があった。歩いていると、祠らしきものがあった。近づいていくと小さな穴があり次第に大きくなっていった。僕はその穴に巻き込まれて意識を失った。
意識が戻ったので周りを見渡してみると古びた剣、古びた弓、古びた槍、古びた斧が1つずつ地面に刺さっていた。僕は、目が離せなかった。古びた武器たちだったのにそれがとても美しく感じてしまったのだ。どうせなら全部欲しいと思い、一つずつ抜いてみることにした。
「よし、最初は古びた剣だ!」
僕は剣を抜いた。すると剣を抜いた瞬間沢山の記憶が僕の中に入ってきた。これはなんだ?この剣か?この蒼色に輝いてた剣がボロボロになるまで戦争で使われていた記憶が入ってきた。その中には何代も前の勇者が使っていたという記憶もあった。
「はあ、はあ、はあ、なんだこれは、これが剣契約か?こんな負荷のかかるものなのか…………」
次は古びた弓だ。
弓の契約方法は取り敢えず触れるだけでわかるらしい。僕は古びた弓に触れた。するとやっぱり記憶が流れてきた。今度の前の使用者は………エルフか。
それもかなりの地位の人だったらしい。ふむふむなるほど人間に恋をしたが、周りがそれを受け入れてくれなかった。から強い地位になって文句を言わせないようにした。
すごい人だな。やっぱり職業がダメでもこの人みたいになりたいな。剣契約が終わったら強くなるダメに旅しようかな。この弓もかつては緑色に輝く弓だったのか。今度試し打ちをして見なきゃな。
よし、次行こう。
ようやく3つ目だ
次は古びた斧行こう。古びた斧を抜いた。またまた前の使用者の記憶が入ってきた。
前の使用者はドワーフか。かなりの腕だったらしい。この人はまだ生きてそうだからどうせならこの武器の使い方を教えて欲しいな。この人の人生も壮大だった。なんと勇者パーティーに所属していたドワーフだった。どうせなら鍛治とかも教えて欲しい。取り敢えず土台作りが始めよう。
最後に4つ目だ
古びた槍を抜いた。うん?なんだ?この記憶は。前の使用者はまさかの神だった。主要武器ではないが、それなりに使っていたらしい。この神も壮絶な人生?
いや、神生を送っていた。子供の頃は病弱だったが、ある日を境にその病はとつぜん治って、修行に出かけて一番最初に使ったのがこの武器だった。まあ、色々あったが、楽しく過ごしているらしい。
ちなみに武器はアイテムボックスに入れた。
やっぱり武器を抜いたら前の使用者の記憶が流れてくるようだ。やっぱり職業がダメでも前の使用者の苦労に比べれば全然楽じゃんと思えるほど僕は前向きになっていた。
「さて、この穴から出るか」
そうつぶやいて、穴を出た。
教会を出たあと剣聖(特)の人が自慢していた。
「これが俺の武器だぜー。どうだ?カッコいいだろ!強そうだろ!凄そうだろ!」
周りの人は少し引いていた。これだけ自己主張が強い人はなかなかいないからだ。
「あ、武器使い。お前はどんな武器なんだ?どうせ楽な武器と契約したんだろ?」
僕は古びた剣だけ見せた。