054 ダンレンジ
話は、もどって協会食堂調理室。
「料理長、このダンジョンレンジって凄いですね」
「ボタンを押すだけで、ハムが出てきましたよ」
「しかもうまいぞ、食ってみろ」
「確かにこりゃうまい、超高級品だ」
「これどうしたんで」
「ほら、この間新しくきた、ダンマスがくれたのよ」
「これでサンドイッチを作ってくださいと・・」
「ただ、サンドイッチだけ作れとは、言わなかったんだわ」
「二コラ、おめえ、マルコの町に顔が利くだろ」
「おれも、このダンレンジ、試してみたんだが、無限に物が出てくるのよ」
「魔法の壺みたいですね」
「こんだけの上物の肉、パンを、おめえの顔で売り捌け」
「もうけの、3割をおめえにやる」
「もう一声」
「ち、しょうがねえ、4割だ、その代わり上手くやれよ」
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バリビューンさんとダブラスさんが、食堂にやってきた。
「今日から、サンドイッチ食べられるんですって、星野さんから聞いたわ」
ち、あのやろう、もう喋っているか。
「ええ、そうですよ」
その日、ゲス料理長は、いやというほどサンドイッチを作らされた。
作り方は雑であったが、材料はよかったので、好評を得た。
「くそ、割に合わない」
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ダンラオ国ファールゼルベルク山にあるマルコ町は、そんなに大きくない、
そんな町に、多量の肉、魚が溢れ出した。
出所は、ダンジョン協会である。
ゲス料理長とその一味は、めでたく、くびになった。
こんな小さな町で、ばれないと思ったのか?
やっぱ料理に愛情がないやつは、駄目だな。