515 亡命者2
「で、どうなさるんですか大浩宇様」
「一応は答えは決まっているが、本国に問い合わせてみる」
「しかしまあ、節操がないというか、
この間戦争をした国に助けを求めてくるとは・・」
「どうせ助けたところで、恩を仇で返す国だ、
揉めても困るので、無視が一番だ」
「しかし、周りが皆逃げ出したとは、
よほど皇太子は人望が無いんですね」
「噂では、箸より重いものは持ったことが、
ないと言われているからなあ・・」
「ただ、あの国は土地は肥沃で作物は良く育つ、
場合によっては、侵攻して我が領土にとかいう輩がいそうだ」
★ ★ ★
モルゴン国境近くのジンギギスタン共和国の宿屋。
「ここですかい、皇太子がいるかもしれないと噂の宿屋は」
「皇太子の首には、教会から賞金が掛けられているからなぁ」
その頃、皇太子は宿屋と揉めていた。
「なんだこの不味い飯は、金は払ったであろう」
「内戦状態なんだ、食べられるだけでもありがたいと思え」
「嫌なら、出て行ってもらっても構わねえ」
おいおい、噂をすれば何とやらだ。
「おじさん、そいつの躾は俺たちに任せてくれないか」
やばいと思ったのか、皇太子は逃げ出したが、
外にいた仲間に捕まった。
「何をする」
「大人しく一緒に来てもらおうか」
こうして皇太子は連れ去られ、その後の消息は不明になった。