514 亡命者
モルゴンの国境の砦にある一人の男が来た、
その男の名は、バガトル、ジンギギスタン共和国の、
新親衛隊隊長だ。
「大浩宇様、亡命希望者が来ました」
「また難民か?」
「どうもそうではなく、第一皇太子と親衛隊みたいです」
「何、すぐ会おう」
モルゴンの兵士の詰め所には、一人の男がいた。
「話は、兵士から聞いた、第一皇太子、
ムンフエルデネ・プレブドルジが亡命したいというのは真か?」
「私の名は、新親衛隊隊長バガトル、此度の内戦により、
インチョキ教徒が傍若無人を働いていおる」
「このままでは、命の危険があるので、亡命をお願いする」
「私の名は、大浩宇、このモルゴンの自治を任されている」
「それで、何名ほどが亡命希望だ」
「私と皇太子の2人だ」
「へ? 他の付き人とかはいないのか?」
「最初は、我が親衛隊の兵士、付き人もいたが、
一人また一人と逃げ出して、今は二人だ」
「で、皇太子は今どちらにおられる」
「万が一を考えて、安全な場所にいる」
「しかし、王も亡くなったと聞くが、
どうして皇太子が後を継がない」
「教団のやつらが、王を殺したのよ、
皇太子までも手に掛けようとしたので、
恥ずかしながら逃げてきたのよ」
「そうか、事が事だけなので、私一存では返事ができぬ、
本国に問い合わせるので、少し待っていただきたい」
「分かった、良い返事を期待している」
つづく。