512 コスタ・ダビ
俺の名は、コスタ・ダビ。
元アレーナの孤児院の卒業生だ、
生まれつき手先が器用なのと、少し魔法が使えるので、
王都で鍛冶屋をやっている。
ちょっと前に、アレーナの孤児院の紹介で、
"ほしいいの"とか言うダンジョンマスターが来て、
うちのダンジョン産の衣類を売ってみないかと、
話が上がってきたが、地元の商人と軋轢が、
ありそうなので、断った。
今日は、王都の騎士団の人間がやって来た。
「お前が、コスタ・ダビか?」
「左様ですけど、何か御用でしょうか?」
「最近若手で、腕の良い鍛冶屋がいると聞いてやって来たのだ」
「そうですか、それはありがとうございます」
「お前は、今年のドラゴン夏祭りは見に行ったか?」
「見に行きましたが、それが何か?」
「そうか、見に行っていたのなら話が早い」
「今年魔導の部で優勝した、魔導具は見ているな」
「変わった長い筒に、魔法を詰め込んでいたようでしたが・・」
「私は、あれが大量生産できれば、戦闘が変わると思う」
「そこでだ、お前に試作品を作ってもらいたいのだ」
「どうだ、作ることは可能か?」
「多分作れないことないでしょうけれど、時間が掛かるかと・・」
「それに、俺の見立てでは、ファイヤーボムに耐えられるだけの、
素材を使わないと駄目でしょうから、やってみないと分かりません」
「そうか、とりあえず20万ドラゴンを渡しておく、
試作品を早急に作ってくれ」
「貧乏鍛冶屋ですから、資金に余裕がございません、
追加金が必要になったら、お支払いいただけるのでしょうか?」
「取り敢えずは、20万でどこまでできるか次第だ」
「分かりました」
こうして、コスタ・ダビは、魔導銃の制作に取り掛かった。