511 インブラの宿屋4
今俺は、インブラの宿屋に来ている。
いやー・・嫌な予感はしていたんだよな・・。
うちのホテルの食事は、バイキングで残ったものを、
捨てるのがもったいないということで、
それを従業員は食べることができる。
ライブキッチン以外の物は結構残る、
自慢ではないが、この星の食事にしてはかなり良い方だろう。
そんな物を食べ付けていたわけだから、
王都周辺の固いパンとかは食べ付けないだろう。
案の定行ってみたら、泣きつかれた。
「星野さん、早く私たちを戻してください」
「変な虫は居るわ、食事は不味いわで何とかしてください」
そんなこともあろうかと、アレーナ領主より書状を貰って来た、
俺は、2人にその書状を渡した。
書状を開けてみた2人は、地獄に落とされたような顔をしていた。
書状の中身は、「仕事を全うすべし、それまでは帰ってくるな」、
といった内容が書かれてあった。
「そんなぁ・・・、星野さん何とかしてくださいよ」
「そうは言っても領主の命令だからなあ・・」
「後輩に仕事を早く覚えてもらえれば、
2~3週間で帰ってこれるだろうから、それまでの辛抱だ!」
「えー、プリン食べたいです」
「でも、領主の命令に逆らったら一生うちには戻ってこれないぞ」
「私からも、よろしくお願いします」と料理人ジョエルが言った。
あまりに悲壮感が漂っていたので、俺は一つの提案をしてやった。
「しょうがない、ダンレンジを1台貸し出してやる」
「但し、商品は10品目までだ」
料理人ジョエルと2人が相談をして、生ものに決まった。
牛ステーキ肉、豚ロース肉、合い挽き肉、ベーコン、ソーセージ、
鳥もも肉、鳥むね肉、生卵、食パン、プリンである。
調味料は、別に蔵みたいのを作り、そこにまとめて保管することになった。
はあ、だからやりたくはなかったんだよなぁ・・、
まあジョエルがやる気満々だから協力してやるか・・。