508 狂信者
ジンギギスタン共和国の教会の猛攻は凄かった。
教会に寄付をしない者は、異教徒として扱われ、
容赦ない死の宣告が行われた。
信者は一度洗脳されてしまうと、
後は教会の言うがままになってしまう。
「ち、中央は金を盗まれたから、各自現地調達しろとか、
無茶苦茶言いやがって・・」
「まあやらねば我らが死を待つのみか」
地方のとある子爵に寄付を呼び掛けたが、
答えは、無理だった。
「とりあえず、信者の何人かを刺客にして、
上手いこと子爵を殺せたなら後は強奪するか」
信者の一人が、司祭の元に呼び出された。
「私たちは、平和、人々の幸せを目的としているが、
ここの領主、子爵は残念なことに異教に取りつかれてしまった」
「この尊き目標の実現のために、私たちは努力しているが、
時として戦いや紛争もやむなしと判断をした」
「そなたに命じる、異教徒、子爵を打ち取って参れ!」
「分かりましただ司祭様、おらが命に代えましても、
見事子爵を打ち取ってきますだ」
「そなたに、インチョキ神の加護があらんことを!」
信者は子爵に切りかかり、あと一歩のところまでいったが、
周りにいた付き人の警護により阻まれた。
「くそ教会め! どいつが信者か一般人か区別がつかん」
「どうします子爵様、こちらから打って出ますか?」
「本来なら、秋の刈り入れ前なのでやりたくはないが、
命あっての物種だ、あの馬鹿司教を打ち取ろう」
「はい畏まりました」
教会に攻め入ったが、そこには司教の姿はなかった。
「ち、地下に潜られたか」
こうして、各地で教会と貴族、豪商の戦いが繰り広げられた。