502 インチョキ教2
ジンギギスタン共和国のインチョキ教の、
異教徒狩りの噂は、ジンギギスタンの辺境の難民のリーダー、
ビロン・チチパスの耳にも入ってきた。
「異教徒狩りだと、バカなことを!」
その噂は、辺境伯の耳にも入ったようで、
辺境伯から提案があった。
「そっちの耳にも入っているだろうが、異教徒狩りは許しがたい」
「名ばかりの資金集めだ、そこで提案をしたい」
「私が懇意にしている、豪商、貴族に声を掛けたいと思う」
「ただ、協力を申し出た豪商、貴族に関しては、
領地と金銭の安堵を約束していただきたい」
「提案は分かった、しかし上手くいくのか?」
「我が組織に入っている情報だと、
王都近辺の諸侯は、献金を拒否したものは例外なく、
異教徒とされ、殺されているそうだ」
「一時は、優勢だった次男派だが、
現在は戦火を免れるため王都から脱出したようだ」
「この件は重要なので、俺の一存では決められない、
返答は少し待って欲しい」
★ ★ ★
「リーダーどうするんですか?」
「俺は、この提案を受けようと思う」
「理由は、俺たちは一度負けており数が少ない」
「それに、仮面の男もそれを望んでいるだろうからな」
「リーダーは、あの仮面の男の正体が誰だか分かるのですか?」
「あれは、ドラゴン・ヨンだ!」
「理由は、魔法障壁が施されており、盗むことは不可能な、
魔導保管庫から盗むことができるのは、唯一、
自らマナを吸収できる、ドラゴンのロンかヨンしかいない」
「ロンは自分のダンジョンの管理があるから、答えはヨンしかない」
「そう言われると合点がいきますな」
「ドラゴン教なら、貴族たちとの共存共栄は可能だ」
「なにより、ドラゴン教が後ろ盾なら動きやすい」
「分かりました、提案に乗りましょう」
「後は辺境伯のがんばりに期待をしよう」