501 インチョキ教
ジンギギスタン共和国のインチョキ教は窮地にたたされていた。
教会の魔導保管庫から、ポーション、魔石、宝物類をすべて、
盗まれたからである。
明日の支払いにも困る状態に追い込まれた教会は、
とんでもない手を打ってきた。
異教徒狩りである。
お布施を強制して、支払わぬ者は、インチョキ教に対する、
反逆行為、払えないのは異教徒であると決めつけ、
残虐行為に及んだのである。
最初は身内の親衛隊も、諌めようとしたが、
「給金も貰えず、飯も食えなくても、それでもいいのか」と、
逆に窘められ、悪事に加担していった。
流石に見かねた王が、調停に乗り出したが、
金の切れ目が縁の切れ目とばかりに、王は乱心したと、
濡れ衣を着せられ、なんと暗殺されてしまった。
一方、ここが絶好の機会とばかり、
次男は打って出たが、こちらも資金源が盗まれてしまい、
給金の遅延が起こってしまい、事態は混沌へ突入してしまった。
王都に居た人々は、身の危険を感じて、続々と地方へ逃げ出した。
一方地方の豪族・貴族は、物乞いに来られては困ると、
町を封鎖した。
「おいおい、これから秋の収穫なのに、どうすんだ」
「賤族をおん出しちまって、誰が収穫、刈り入れをすんだ?」
「王都から流れてくる奴らにやれせればよかと」
「あいつら、刈り入れとかやったことなかっぺ」
「それに、刈り入れが終わった頃、インチョキ教が強奪にくるぺな」
「こりゃ今年の冬は、越せそうにないべや」
「今のうちに逃げる算段をしとくべや」




