499 新魔王6
アニベロス共和国教会から、急な御布令が出た。
何でも、神託により、勇者たちの現装備では、
魔王軍に立ち向かえないため、新たなる強力な装備を作れとの、
仰せらしい。
「はあ? なんじゃこりゃ」
「この間、勇者たちの育成費と称して、金集めたばかりだろう」
「実はノバク様、妙な噂が立っておりまして」
「妙な噂?」
「教会の、魔導宝物庫の宝物が、何者かによって、
根こそぎ盗まれたとの噂です」
「それは誠か?」
「それが誠なら、教会がポーションの販売をやめているのにも、
合点がいく」
ノバクはすぐさま教会に向かった。
「教皇様は、おいでかな? ノバクが御布令について、
問いただしたいことがあると、取り次いでもらおう」
「教皇様は所要で席を外しております、ご用件でしたら、
この私がお聞きしますが」
「そうか、それでは司祭どの、御布令の件だが」
「新魔王に対する、勇者たちの強化、誠に結構だと思うが」
「いかに、武器、防具を強化しようとも、
本人たちの力量が付いていかないのでは、意味がない」
「それこそ、無用の長物と言うものだ」
「そこで。現在どの程度まで、修練されているのか、
騎士団で模擬をしたいと思うのだが、いかがかな?」
「それは、私の一存では返答できません」
「後日、改めて返答させていただきます」
「おや、司祭殿顔色が悪いように見えるが心配事でも」
「・・・」
「後日の返答を楽しみにしていますぞ!」
ふ、噂は本当か、顔に出すぎた。