498 新魔王5
「おはようございます、マスター」
「あ、おはよう、コンちゃん」
「どうしたの、畏まっちゃって」
「昨晩、星野様が見えられまして、
あちらにある物を置いて行かれました」
「え、どれどれ?」
「なにこれ? 剣やら服みたいのやら、あ、ポーション、
魔石もあるわね」
「いったいどうしたのかしら?」
「星野様がおっしゃるには、アニベロス共和国の教会から、
分捕って来たらしいです」
「この趣味の悪い、禁断の淫舞踊みたいな服もそうなの?」
「それは多分、魔防具の一種かと思われます」
「それで、星野さんはこれでどうしろと?」
「さあ、勝手に使っていいのでは? ただ星野様が分捕ってきたのは、
絶対に内緒にして欲しいと仰ってやりました」
「少なくとも、これでアニベロス共和国の教会は、
しばらくは動けないかと・・」
「そうよねえ・・、この黄金のキラキラ光る剣は、
ひょっとしたら、新しい勇者の剣かしらねえ?」
「今頃は、向こうは大騒ぎじゃないのかしら?」
★ ★ ★
その頃の、アニベロス共和国教会
「た、大変でございます!!」
「どうした、そんなに慌てふためいて」
「ま、魔導保管庫の物がすべて消え失せました」
「はあ? 何かの見間違えではないのか?」
教会の重鎮は、魔導保管庫の中を確認しに行ったが、
そこには、本当に何も無かった。
「バ、バカな、こんなことはありえん!!」
つづく。