492 戒厳令9
「ムンフエルデネ・プレブドルジ様、アマラーの屋敷には、
それらしき宝物はございませんでした」
「何だと、それはまずいな」
「やつのメイド、ジェスタを呼んで参れ」
ジェスタは、第一皇子の前に、引っ張り出された。
「ジェスタよ、アマラーの屋敷にはそれらしき宝物は、
無かったと報告が入っているのだが、どうするのだ」
「いえ、そのようなはずはありません、私は確かに、
アマラー様の部屋にあった、黄金色に輝く剣を見ました」
「ひょっとしたら、アマラー様は私が密告をするのに、
気づいていたみたいで、どこかに移動させたのかも知れません」
「どこに移動したか、予想はつくか?」
「第一騎士団と執事が色々話していたみたいですから、
その近辺が怪しいかと思います」
「よし、それでは三人虎を成すでいくか」
(三人虎を成す:事実でなくても、多くの人がそうだと言えば、
事実だと思われるようになることのたとえ)
「よし、あと2~3人見繕ってでっち上げろ」
ちょうどその頃、第一騎士団がプレブドルジ邸に到着した。
「新親衛隊長とジェスタをこちらに、お引渡し願いたい」
「それは、承服いたしかねる」
「何故でございますかな?」
「それは、貴殿らが査察に入る前に、宝物を持ち出しをするのを、
見たものが、多数いるからだ」
「その中には、国宝の王金の剣もあったと報告が入っている」
(王金:真鍮で亜鉛の含有量が25%以上の物)
「あらぬ疑いを、何度も着せられては、当方も黙ってはおけません、
アマラー様に、ご報告をさせてもらいます」
第一騎士団隊長は、第二皇子アマラーに報告をした。
「そうか、開き直ってきたか、いいだろう受けてやろう」
「向こうは、金欠だ、引き抜けるだけ引き抜いて、手足をもいでやる、フフフ」