489 戒厳令6
ダンジョン協会本部。
「バリビューン理事長、ジンギギスタンからダンジョンマスターの、
依頼が来たって本当ですか?」
「本当よ、全く、どの面立てて言って来たのか分からないけど・・」
「ロンさんが、『もうすぐ動きがあるだろう』とか言ってたから」
「詳しいことは、よく分からないけど、ジンギギスタンに、
大盗賊が入って、宝物庫の物を盗んだとか、噂が立っているわ」
「大盗賊ですか・・、それでしたら情報通の、
星野さんの所に行って確認した方がいいですね」
「僭越ながら、私が自ら行って確認してきましょう」
「ダブラスさん、単に御馳走が食べたいだけでしょう」
「そんなことはありませんよ」
「ただ第六感で新作の甘味があると思うんですよ」
「お土産も貰ってきますから、いいでしょ・・」
「はあ、しょうがないわね、お土産忘れないでね」
★ ★ ★
俺は、現在ホテルのステーキハウスで、秋の試食会をやっている。
松茸の香り焼き、松茸ご飯、秋刀魚の生姜炊き込みご飯、
かぼちゃの煮物、さつまいもの大学芋、
そして今回の目玉の、モンブランケーキだ。
モンブランケーキはマロンペーストを絞り出す機械を使って、
実演で出す予定だ、演出としては悪くないはずだ。
俺が、マロンペーストを入れて絞って実演をしていると、
婦女子からは「おおー」と歓声が上がった。
そして何故だか分らんが、ガエウ夫妻とダブラスさんが居た、
何という嗅覚の持ち主だ。
マロンペーストは、茨城の笹間産を使っており、
正直滅茶苦茶美味い、ホテルの食べ放題で出すレベルを超えている。
もちろん大好評だったのは言うまでもない。