488 戒厳令5
ヤシリギ共和国王宮。
「ミハイル・アスプガリス宰相、ルガトルポ公国より、
親書が来ております」
「分かった」
宰相は、渡された親書を見て驚いていた。
「いかがされました宰相閣下」
「読んでみろ」
「貴国の国境に不法滞在していた難民は、自国に帰還したようだ、
至急詳細を確認されたし」
「え、これが事実だとすると、徴兵・・いや義勇兵はいらないのでわ」
「兵糧が足りないと思ったのか、こちらに恐怖したのかは、
分からんが、一か八か国に戻ったようだな」
「至急、確認をせねばなるまい」
王宮から、視察団を派遣しようとしていたところ、
国境を監視するために放っていた隠密から連絡が入った。
理由は分からないが、急遽国境の砦に居た難民は、
すべてジンギギスタンに帰って行ったらしい。
現在、砦はもぬけの殻らしい。
「戻ってきても困るからな、早急に軍を派遣して、砦を占拠しろ」
「はは、急ぎそのように手配いたします」
しかし、集めた徴兵・・いや義勇兵と金は返さないと、
各諸侯がうるさいだろうな、ラリス・アトラス辺境伯の親類縁者からだけは、
迷惑料として徴収しておくか。
後は、あの領地をどうするかだな、一戦もせず逃げ出した様なやつを、
また領主にするのは避けたい、暫くは直轄領にしておくか。
それにしても、我が国より先に情報を仕入れているとは、
さすがはルガトルポ公国、侮りがたし。