481 ジンギギスタン8
ジンギギスタン国境砦の見張り兵。
「腹減ったなあ、俺なんか昨日の昼から水だけだぜ」
「今日の昼には、武具を売った金で、
食糧手に入れるそうだから、それまでの辛抱だ」
「こんな時に攻められたら、どうするんだ?」
「隊長は、栄誉ある撤退をすると言っていたぞ」
「責任は、食糧を融通しなかった、辺境伯のせいにするらしい」
そこへ、銅鑼みたいな音が木霊した。
「え、テステス、そこの砦にいる兵士に告ぐ、
今から1時間後までに、撤退か降伏をしなさい」
「撤退をする場合は、追い打ちはしないから
勝手にどこかに行ってね」
見張り兵が、音のした方向を見ると、
そこには屈強そうな魔物がいた。
「魔物だと、そんな馬鹿な」
「この辺に、ダンジョンはないし、まさか魔物使いか?」
「とりあえず隊長に報告だ」
「あー、報告されなくても、あんだけでかい音出されたら分かるわ」
「相手の魔物は、全部で17体か、
こっちが80人しかいないから、互角てとこか?」
逃げやすいように、一発演技をしてやるか。
「おーい、皆、あの砦の上に岩を浮かべるから、
合図したら全員で攻撃してね!」
「分かりましたマスター、派手にやらしてもらいます」
突如砦の上に、10mはある岩が出現した。
「おい、あの岩は何だ? 砦を潰す気か?」
星野が「はい」と声をかけると、魔物たちが一斉に得意な魔法で攻撃をした、
ファイヤーボールやらウインドカッターが飛び交い、岩は粉砕された。
「ば、ばかな、あんな大きな岩を粉砕だと、化け物か!」
その後、砦の兵士は、蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。