398 ガエウ邸2
俺は、グロッサム料理長に領主以外の好みと量を聞いた。
さすがに、港町だけあって、魚の料理が多いそうだ。
今日は、領主と奥方、子供たち4人が勢ぞろいらしい、
なんでも、夏休みなので実家に戻って来ているみたいだ。
メイド2人と執事、料理長も含めて10人前出せばいいか?
メニューは、魚介のマリネ盛り合わせ、甘鯛のうろこ焼き、
ポルチーニのクリームソース、牛ロース肉のロースト、
桃のコンポートと出来立てバニラジェラート、食後のカフェ。
ワインは、ピッツァ屋で使っている、
タヴェルネッロ オルガニコ ・サンジョベーゼ(赤)、
トレッビアーノ シャルドネ(白)である。
子供用には、グレープとマスカットブレンドを用意した。
俺が、調理もしないで、まるで魔法のように、
食材を食台に並べていくと、料理長たちは、
目を丸くして驚いていた。
「いったい、なにが、どうなっているんだ!」
「ちゃんと食べられますよ、食べてみますか?」
「いただかせてもらおう」
「な、なんだこれは、全然生臭くない、この貝みたいのは、
甘みがあって、美味い!」
「試食して問題がないようでしたら、運んでください」
「葡萄酒は、こちらの白で、絶対に飲ませ過ぎないでください」
「おお、料理が運ばれて来たみたいだな」
「これは、魚介のマリネとかいうやつだな」
「何ですの、私はそんな料理聞いたことがありませんわ」
「まあ、食べれば分るよ」
奥方の前のワイングラスに、白ワインが注がれた。
「これは、何ですの、ちょっと色の付いた水みたいですけど」
「それは、白い葡萄酒というやつだ、結構美味い」
つづく。




