378 葡萄酒醸造家の嘆き
おいらの名は、アンドレ葡萄酒醸造家だ。
最近、ジョタ・ディオゴ元騎士団団長から、
お叱りの言葉を受けた。
「お前のとこの、葡萄酒がこの辺では一番だと思っていたが、
上には上がいるもんだな」
「おっしゃる意味が良く分らないのですが?」
「この間、お嬢様の敵討ちに俺が行ったのは知っているだろ」
「ええ、良く知っておりますよ、みんな流石はジョタ様だと、
誉めちぎっておりましたから」
「うちからも、お祝いの葡萄酒を領主様に献上しましたから」
「おお、そうだったったな、礼を言う」
「それで、その事とは別なんだが」
「南国のセブンスターダンジョンというところで、
葡萄酒を飲む機会があったんだが、それがべらぼうに美味かったのだ」
「なんで、こんなに美味いのかと聞いたら」
「葡萄酒にするための専用の葡萄を使っていますから」
とダンマスが答えておった。
「そういえば、王都で凄く美味いガラスに入った葡萄酒が、
販売されていると言う噂を耳にしました」
「なんでも、とてつもなく高く、それなのに売切れてしまうとか?」
「王都の大手商会の連中は、死に物狂いで、
セブンスターダンジョンの商品を買い漁っているそうだ」
「お前も、秋の仕込が終ったら、一緒に、
セブンスターダンジョンに行ってみないか?」
「でも、アレーナでしたっけ、あそこ遠いから、
陸路だと2週間位掛かるのでは?」
「ふふふ、俺がどうやって帰ってきたと思う?」
「実は、ドラガンとセブンは航路があって飛べるんだ」
「一般公開はされていないがな」
「まあ、魔石代は掛かるが・・」
「ちょうど今、端境期なので行ってみますか」
つづく。




