028 異世界でのお約束
ダンジョン協会から地図をもらった俺、星野敬太は。
上空を飛んで、セルゲイのダンジョンと向かった。
「確かこのあたりなんだが、上からだと、ちょっと分りずらいな」
「いきなり降りて、びっくりさせてもいけないから、ちょっと手前から歩くか」
人気のない所に降り立って、ダンジョンに向かって歩いていた。
「兄貴、なんか変な格好をしたやつが歩いてきますぜ、どうします」
「ひとりか、しかも手ぶらかよ、本当にダンジョンに来たやつか」
「とりあえず、声をかけて、やつの出方次第だな」
★ ★ ★
「よお、兄ちゃんどこから来たんだ、この辺は一人じゃ危ないぜ」
「セルゲイというやつのダンジョンへ行こうと思っている」
「セルゲイ? この先にモスクワダンジョンてのがあるけど、それのことか?」
そうか、こいつらダンジョンマスターの名前は知らんのか?
しかし自分の住んでいた首都を、そのまま名前にしているとは・・
「たぶんそうだろう、礼を言う」
と言って、立ち去ろうとしたら、案の定お声が掛かった。
「ちょっと待ちいや兄ちゃん、通行料と教授料を払わんかい」
「・・・・」
「なんや、見たとこ一人なのに、ずいぶん強気だな兄ちゃん」
案の定、盗賊もどきは脅してきた。
俺は、パペットの魔法を試してみた。
「控えおろーーう」「頭が高い」
「われは、さる協会より派遣されし、星野敬太なるぞ」
「頭が高い」「控えおろーーう」
盗賊もどきは、全員が硬直をしてしまった。
「ええーい、頭が高いと言っているであろう」
盗賊もどきは、その場で土下座を始めた。
どうなっているんだ、体がゆうことをきかねえ、勝手にからだが動きやがる。
「うむ、今回は見逃してやろう」と俺は言った。
精神魔法系パペット、その名も「土下座」が発動した結果だった。