244 スボンの宿屋
俺の名は、マリオ・ジョアン、ルガトルポ公国スボンで宿屋をやっていた。
やっていたというのは、ついこの間までは普通に営業していて、
割と人気の宿屋だった。
客の1人の火の不始末で、宿が半焼しちまった、
その客は、結局逃げちまって、現在行方不明だ。
俺たち一家4人途方に暮れていたら、女房が重い口を開いた。
「あたしゃ、かなりの客から聞いたんだけど、
セブンスターダンジョンてとこは、すごいって」
「ああ、それなら俺も聞いている、飯が美味くて、
なんでも学校まであるとか、しかも領主が太っ腹で学費はタダとか」
「あたしゃ、店がこんななっちまったし、あっちなら働き口あると思うんだが、
どうだい、向こうに行ってみる気はないかい?」
「飯が美味いと評判だから、住み込みで働けば、
その美味いという料理法教えてもらえるかもな?」
「よし、子供たちがよければ、行ってみるか」
こうして、マリオ一家は、セブンスターダンジョンへと行くことになった。
びっくりしたのは、船がほぼ満員だったことだ、
見る限り商人らしき人が多い、ちょっと尋ねてみたら、
あそこは、宝の山だ、俺も一山当ててくると言われた。
狭い思いをしたが、一泊だったので我慢できた、
アレーナの港に着くと、もう夕方近くで、早急に宿を探さないといけない。
船中で仲良くなった、一山男に良い宿を知っているか聞いたら、
まだこの時間なら、最後の乗合馬車に間に合うという。
どうやら、何回もセブンスターダンジョンに来ているらしい。
その男に言われるままも町の外に出たら、豪華な馬車があった。
「セブンスター行きの、最終です、この乗りの方はお急ぎください」
私たち一家は、慌てて馬車に乗り込んだ、すごく豪華で窓はガラスだ、
こりゃ、運賃高いだろうなと思ったら、なんと無料だと言う、信じられない。
結構な速さで、馬車は動いているのに、あまり揺れない。
そうこうしているうちに、目的地セブンスターダンジョンに着いた。
つづく。