215 領主の挨拶
馬車から降りた、セバスチャンが領主の元に駆け寄り話をしている。
ホテルからは、メイドが出てきて、馬車の扉を開けて、頭を下げている。
馬車から降り立った一行は、ホテルを見て、ぽかんと口を開けて呆けていた。
まさか、南国のど田舎に、王都顔負けの建物があるとは思わなかったんだろう。
セバスチャンが、目配せをすると、メイドたちが視察団一行をホテルに招きいれた。
「ようこそ参られました、私が領主のアレーナ・ジョゼ辺境伯でございます」
「我が今回視察に参った、ガエウ・シルバ侯爵である、出迎え痛み入る」
「わざわざ遠方までお越し頂きありがとうございます」
「お疲れのようでしたら、すぐにお部屋をご用意いたします」
「お食事がまだのようでしたら、只今バイキングをやっておりますのでよろしければ」
「バイキング?」
「田舎料理を並べたものでして、お口に合うか分りませんが、結構人気があります」
「そうだな、少し小腹も空いてきたので、
そのバイキングとやらを視察するのも良かろう」
セバスチャンが俺の元に駆け込んできた、視察団に侯爵がいるとのこと、
万が一の事を考えて、一般客に後方の席に行くように案内した。
一生懸命、セバスチャンとメイドが料理の説明をしている。
侯爵たちは、料理の種類の多さと、量に圧倒されている。
特に料理をしているところが生で見れる、ライブキッチンにはびっくりしたようだ。
ブランデーを垂らして、フランベしたときは、「おおー」と感嘆の声をあげていた。
伯爵視察団は、VIPルームへ、元勇者一行は、手前の席に座り食事を始めた。
俺は気がついた、あいつらファン・ゴンにいた勇者の片割れじゃないか?
まさか、うちのモンちゃんを探しに来たわけじゃないよな?
まあ、来ても返り討ちに遭うだけだろうが、会わせる訳にはいかんな。