196 モルゴン孤児院
「さあ、とりあえず、このアルコールで手を洗おう」
俺は、アルコールのスプレーで手を揉んで洗って見せた。
「山には、極稀に悪い菌というのが生息している場合もあるので、
除菌というのが必要になる場合もある」
「あら、よくご存知ですね」引率をしていた若い先生が言ってきた。
「みんな、このお兄さんが言うように、手を洗いしましょう」
「はーい、先生」うんよく教育できている、特におじさんと言わないところがいい。
「それで、どれくらい寄付をしていただけるのでしょうか?」
「寄付は、一時的なものと、永続的なものがあるが、
俺は永続的な支援をおこないたいと思う」
「それは、非常にありがたいのですが、相当費用が掛かると思いますがよろしいのですか?」
「もちろん、それには条件がある、この場所では網で風を捕えるようなものだ」
「この場所ではなく、俺の作っている町に来て欲しい」
「来る来ないは、これから出す料理を食べて判断して欲しい」
俺は、うちの子供たちに人気の商品を並べた。
唐揚げ(ザンギ風)、煮込みハンバーグ、カレー甘口、餃子、オムライス、グラタンである。
飲み物の方は、果汁ジュース、オレンジ、リンゴ、ぶどう、麦茶にした。
俺は空間から、パーティクルデータを取り出し、ドンドン並べてやった。
院長、引率は唖然としていたが、そんなのお構いなしだ。
「先生、これ食べてもいいの?」子供たちは並べらていく料理に目が釘づけだ。
「毒は入ってませんので安心して、食べてください」
引率が、「そうですね、ではこちらにみんな並んで料理をとって食べてみましょう」
孤児たちは、きれいに整列をして順序良く料理を持ってテーブルに行き食べ始めた。
うーん、教育が行き届いている、これならうちに来ても、うまくやっていけそうだ。
子供たちから「美味しい、うまい」の歓声があがる、「先生、おかわりしてもいいの?」
引率がうなづくと、子供たちは、また列に並び料理を取り始めた。
「いかがですかな、料理の方は?」
「もしかしたら天使が振りまく禁断の果実かもしれません」
「いままでで食べた中で一番美味しかったです、料理には誠意と愛情を感じました」
「禁断の果実ではないと思いますが、私たちはこの町から出る手段を持ちません」
「それでしたら、私にお任せください」
「あとは、この町から出るのか、残るのか、孤児たちと話し合って決めてください」
院長、引率、子供たちが話し合いを始めた。
「私たちは、あなたに運命を預けることにしました、よろしくお願いします」
こうして、モルゴンの孤児たち63人が、セブンスターダンジョンに移転することになった。