192 ルイ・パトリシア
翌朝、依頼を見ていた、元勇者一行だが、めぼしい依頼がないので、
旅を進めることにした。
「食事は不味いし、用足しは、ポットンで臭いし・・」
「しかたがないだろう、ここのインチョキ教の教えは、生きとし生けるもの、
すべてがインチョキ神がお作りになられたもの、それをあるがままに感受せよ」
「だから仕方がないだろう」
「ルガトルポ公国まで行けば、用足しは水洗らしいし、飯もそこそこだそうだ」
★ ★ ★
ルガトルポ公国、首都ボスリ、国王ルイ・パトリシア14世の元を、
ドラゴン・ヨンが訪ねてきた。
「おお、これはヨン様、本日は如何様なご用件で」
「ほら、その方が、新しいダンジョンはどの様なものか、聞いておったであろう」
「それで、ダンジョン協会の連中と一緒に視察に行ってきたのよ」
「まだ未完成ながら、あそこはすごいぞ、一度行く価値はある!」
「そうなのでありますか」
「実は、アレーナから、珍しい衣類がこのボスリにも最近入ってきておりまして、
気になっていたところでありました」
「早急に視察団を派遣することにいたしましょう」
「あ、そうそう、これがお土産だ、カレーとかいうものだ」
「湯の中にしばらく入れ、温まったら袋を破き、
中から出てくる汁とパンを浸けて食べると旨い」
「教会の分も置いていくからよろしく頼む」
「教会への連絡はよろしいのでしょうか?」
「あいつら来ると、うるさいから、かまわない」
そう言うと、ドラゴンヨンは帰っていった。
国王ルイは、料理長を呼びつけると、夜の晩餐用に作らせた。
「どれ、確かに良い匂いはするな」パンに浸けて食べると、
「なんじゃこれは、旨い、貴重なスパイスがふんだんに使われておる」
「こんな旨いものを、アレーナでは食べているのか・・」
「さっそく、献上させよう!」