149 勇者が逃げた
ポンシェダンジョンにも朝一で、教会から連絡が入った。
「勇者が逃げた」と・・。
チャンチングウが重い口を開いた。
「どうやらここまでのようです、我等だけで成功する確率は低いですが、行ってまいります」
「うむ、頼んだぞ!」
チャンチングウと四天王は、ファン・ゴンへ転送を開始した。
そこには、人間の男が1人いた。
「いらっしゃい、そろそろかと思いお待ちしていましたよ」
「おい人間、ダンジョンコアはどこにある」
「ほお、すぐに斬りかかって来ないのは優秀ですね」
「まあ、暴れられても困りますから、大人しくしてくださいね」「スタン」
「いったい何が目的だ!」
「特にはないのですが、もうちょっと人間とモンスターが仲良くなれないかと」
「それと、いくら規則とはいえ、その規則の隙間をついて、俺つえーーはねえ」
「そうそう今年召還されたマスターに、ミノタウロスがいたのは知ってますか?」
「彼のダンジョン、2ヶ国間の戦争に巻き込まれて、マスターが殺され、
ダンジョンコアが壊されたんですよ」
「本来なら、離反し暴動するところだったのですが、
彼らはマスターの言い付けを守り、座して死を待つだけだったんですよ、
よほどマスターを愛していたんでしょうね」
「たまたま召還されたミノタウロスが後を継いだらしいですが」
「あなたたちのマスターはどうなんでしょうかね」
「あとは、ラン・スウさん頼みますよ」
「ラン・スウ、お前生きていたのか?」
「みんなには悪いが、俺はこっちに鞍替えした、
あのマスターは、俺たちのこと使い捨ての駒としか思ってねえ、
それに勇者との茶番劇もあきた、結局はいつもこっちが負けだからな」
「それに、こっちは信じられないくらい飯が旨い」
「飯?」
「俺たちにがんばって欲しければ、飯くらいちゃんと食わせろてんだ」