135 昼食会
その頃タチアナは、子供たちと自転車の練習をしていた。
門のほうが騒がしいので見てみると。
「あら、そちらにいらっしゃるのは、ニコス様じゃないですか」
ニコスが声のする方向に向き直ると、そこにはタチアナお嬢様が居た。
「これはタチアナ姫、お久しぶりですな」
「本日は何か御用でしょうか?」
「タチアナ! 元気してた」
「ラザロウ、貴女ほどじゃないけどね」
「何? その変な頭」
「ああ、これはヘルメットといって、この自転車に乗る時に危ないからかぶっているんです」
「自転車?」
「これ!、今乗って見せるから、よく見ていてね」
タチアナは自転車に乗って、走り回ってみせた。
「ワオ! すごく早くて、楽しそう!」
「で、何の用だったかしら?」
「アレーナギルドのコスタスが頭おかしくなったみたいだから、見に行くとこなの」
タチアナお嬢様に「ピーン」と悪巧みが芽生えた。
「ニコス様、本日は昼食はお済でしょうか?」
「いや、まだだが・・」
「よろしければ昼食にバイキングはいかがでしょうか?」
「「バイキング」」横に居た子供たちもハモった。
「じゃあ、お客様が来たから、用意しておいてとあいつに言っといて」
「今日は、料理の思索にホテルにいるはずだから」
「うん、わかった」と言って自転車を漕ぎ出してホテルへ向かった。
つづく