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28 クイーン オブ レジェンド 伝説再び!? もう一人のヒミコ その2

「ねぇ、キーお兄ちゃん。夏休みは美澄とプールに行こうね。それから遊園地にいったり、お買い物したり、い~っぱいデートしようね。あとねあとね!宿題の自由研究とか手伝ってね。う~ん、何を研究しよっかなぁ。ホントはキーお兄ちゃんの観察日記とかつけたいんだけどね」

「おおぅ、羨ましいにゃ~。でも、美澄ばっかり独り占めはズルいから、たまにはお姉ちゃんにもキーくんを分けてほしいにゃ~」

「澄麗姉はこの前、お兄ちゃんとデートしたじゃない」

「いやいや。色々あったりして、最後まで満喫できなかったしね。お城にも行けなかったしぃ」

「お城?」

「うん。それはそれは綺麗な、ピカピカと電飾の輝く男と女の夢の……」

「ちょ、ちょっと澄麗さん!?なに言い出すんですか!あ、あれは秘密子をからかう冗談じゃないですか!」


 放っておいたら、小学生相手にとんでもない説明をしそうな澄麗さんを慌てて止める。それに、恐ろしい形相でこちらを睨む那澄菜の誤解を解くためにも……。


「ん?ああ、美澄にはまだ早かったか。いやいや、こっちのことだにゃ~」

「ズルい!また美澄だけ仲間外れにして。美澄だってお城行ってみたい」

「にゃはは、メンゴメンゴ。まあ、結局行けなかったんだしさ。6、7年もしたらキーくんに連れてってもらえばいいさ」

「ちょ、ちょっと澄麗さん!?いくらなんでもそれは……!」

「んふふ~。それまで楽しみに待つがいいさ。てなわけで、お姉ちゃんにもキーくんをレンタルしてほしいにゃあ。できたら2泊3日くらいのお泊り付きで」

「う~ん……。じゃあ、美澄がプールと遊園地に行った後ならいいよ。もちろんお泊りはダメだけど」

「お泊りはNGかぁ……。ま、それでもいっか。姫、ありがたき幸せですにゃ~。でも良かったねキーくん。今の世の中、女子小学生と一緒にプールなんて、大金払ったってなかなか叶う夢じゃないよ。ジッと見てるだけで事案発生の世の中だからねん。それが間近で水着を見れたり、一緒にお風呂に入ったり……。く~っ、これってお金取れんじゃね?」

「もー、澄麗姉ったら。キーお兄ちゃんからお金なんか取るわけないでしょ。お兄ちゃんなら、どれだけ見ても触ってもタダでいいんだからね。ほら」


 言うが早いか、美澄ちゃんは俺の手を取ると、なんのためらいもなく自分の胸の上に置く。

 余談だが、美澄ちゃんは年齢的にも大きさ的にもまだ下着……、いわゆるブラを着けていない。もちろん覗き見たわけじゃなく、一緒にお風呂に入った時に知ったことだ。ちなみに今の服装は、家の中ということもあり夏らしく薄手のキャミソール一枚だ。

 つまり何が言いたいのかと言えば、一瞬の出来事で抵抗する間もなかった俺の手の平には、平坦ながらもわずかな膨らみを感じさせる、ほとんどナマに近い暖かい感触が……。


「ちょっ……、ダメだって美澄ちゃん!そんなに簡単に見せたり、触らせようとしちゃ!!」


 慌てて引っ込めるが、手にはしっかりと小学生女児の胸の暖かさを感じていた。おまけにちょっぴり固めの、少し飛び出た部分の感触まで残っており、なぜだか妙にドキドキする。

 いやいや、これはけっして小学生に興奮したとかじゃない。このドキドキはきっと、こちらを物凄い形相で睨む那澄菜に恐怖しているだけだ……。


「どうして?もしかしてキーお兄ちゃんって、もっと焦らされたり見えそうで見えなかったりするほうが好きなの?」

「ちっ、違うって!」

「違うの?じゃあ強引にしたいとか?キーお兄ちゃんがそうしたいなら、もちろん美澄はいいけど……。でも、あんまり乱暴にはしないでね」

「そっ、そういう性癖の意味じゃなくて……。ホントに違うから!」

「ケッ!言葉のわりに顔がニヤけてんぞ、このロリコン鬼一が。美澄もいい加減にしないと、ホントに襲われても知らねーぞ。ったく、そんなんだから学校で『鬼畜ロリコン野郎』って呼ばれんだよ!鬼だけにな。クククッ」


 妙に大人しくしていると思っていた那澄菜だったが、突然とんでもないことを口走る。


「は……?ちょ、ちょっと待て!俺ってそんなふうに呼ばれてんのか!?いや、そもそも誤解を広めたのは那澄菜だろ!」

「も~、いいじゃない。キーお兄ちゃんならロリコンさんでも、美澄は全然大丈夫だよ。あ!でもそうだとしたら、美澄が大っきくなったら嫌いになっちゃうかもしれない……ってこと?」

「い、いや、そうじゃなくて……。そ、その、美澄ちゃんが大っきくても小っちゃくても、俺は大好きだよ」

「やっぱロリコンじゃねえか……。マジでキモ……」

「ぐっ……」

 

 那澄菜の言葉に若干傷付くが、かといって美澄ちゃんを傷付けるわけにもいかない。そのためならば、汚名は甘んじて受けよう……。

 相も変わらず繰り広げられる光景だし、俺がその場の雰囲気に流されるのもいつものことだ。だが、美澄ちゃんには悪いが、こればかりは譲れない。

 

「ごめん美澄ちゃん。実は夏休みはちょっと忙しい予定で……。悪いけど、あんまり家にいられないと思うんだ」

「え!?なんで……?もしかして、女の人と遊びに行くの?あ、もしかして澄麗姉が見たっていう、幼馴染のお姉ちゃん?」


 不意に、美澄ちゃんの周りの温度が下がった気がする。というか、俺を見る目から急激に光彩が失われた気も……。

 幼いとはいえ、これが女の嫉妬というヤツなのだろうか。いや、俺の自意識過剰なのかもしれないが、正直怖い……。

 

「ち、違うって!実は……」


 ☆ ☆ ☆

 

「「「アルバイト!?」」」


 さすが姉妹と言うべきか。事情を説明した俺に対し、綺麗なユニゾンが返ってきた。


「はい。華澄さんにお世話になりっぱなしってのも悪いし、少しは自分でも稼ごうかと思って。それに、買いたい物もありますし」

「でも、キーお兄ちゃんもお小遣い貰ってるでしょ?しかも、ほとんど使ってないみたいだし……」


 たしかに、春から貰っている小遣いはほとんどが手つかずで残っている。だが、だからといっていつまでも甘えているのも気が引ける。

 

「そうなんだけど……。まあ、自分が納得したいっていうか、今はこんな状況になってるけど、もともと春から働くつもりだったんだし、社会勉強っていうか……。部活もしばらく休みになったし、ちょうどいい機会かなって」

「う~ん……。でもキーくんはまだ高1なんだし、そんな無理しなくても……」

「そ、そうだよ。だいたい鬼一みたいなイカツいヤロー、雇うところなんてあんのかよ?どーせ門前払いになるだけだし、やめとけって」

「そうだよ。せっかくの夏休みなんだから、美澄と一緒に遊ぼうよ」


 口を揃える3人を前に、俺は正直驚いていた。まさかこれほどまでに反対されるとは思わなかったからだ。

 もちろん皆が、俺を心配して言ってくれているのはわかる。

 実際、那澄菜の言うとおりになる可能性のほうが高い。おそらくだが、皆そのことに薄々気付いており、俺が傷付くのを心配してくれているのだろう。

 けれど、俺にはどうしても自分の力で稼ぎたい理由があった。

 

「でも、もう決めたことだし……」

「あら、いいじゃない。私は賛成よ」

 

 そんな俺を後押ししてくれたのは、ちょうど買い物から帰ってきた華澄さんだった。


「ママ!?でも、お兄ちゃんは美澄と遊びに……!」

「フフ……。心配なのはわかるけど、男の子が自立しようと頑張ってるんだから。女の子は暖かく送り出してあげなくちゃ」

「うぅ……。わかった……」

「それで?もう働く先は決まってるの?」

「いえ、それはまだなんですが……」

「そう。じゃあこれから頑張らなくちゃね。それよりも……」


 言葉を切ると、華澄さんは意味深な顔で笑う。

 

「自分の稼いだお金で、キーちゃんは何を買いたいのかな?もしかして、誰かのために使うとか?ひょっとして、女の子?」

「え?キーお兄ちゃん、女の人にプレゼント送るの!?」


 再び美澄ちゃんの周りが、うすら寒くなった気がする。詳しくはないが、俺の頭に一瞬『ヤンデレ』という言葉が浮かぶ。


「ちっ、違……。あ、いや……。その……」

「ありゃりゃ。もしかしてホントにそうなのかにゃ?」

「ふ~ん。そうなんだぁ……」

「い、いや、違うよ美澄ちゃん!そ、そうと言えばそうなんだけど、そういう意味じゃないから」

「う~ん……。信じてあげようかなぁ。じゃあ安心だね。それなら、美澄は何をプレゼントしてもらおうかなぁ?」

「も、もちろん美澄ちゃんにもお土産買ってくるよ!」

「あ~、キーくんは尻に敷かれるタイプかぁ……。ま、それはそれで可愛いけどにゃ~」

「どこがだよ。デカい図体して小学生女子の言いなりって……、キモすぎだろ。マジでロリコンなんじゃねえのか?しかもマゾの。これからMMR(マジマゾロリ)って呼んでやろうか?」


 しどろもどろになる俺を見て、澄麗さんはニマニマ笑い、那澄菜は汚物を見るような目をしている。

 ともあれ家族の了解はとったわけだし、期待を込めて俺を見る美澄ちゃんの瞳に応えるためにも、まずは職探しをせねばならない。

 

 そして迎えた夏休み初日、俺は決意を固めて街へと繰り出したのだった。

 

☆ ☆ ☆


「ハァ……。覚悟はしてたけど、やっぱこんなもんか……」


 はたして、どれだけ断られたのだろうか。

 いい加減数えるのも嫌になってきた俺は、たった今面接を終えたファミレスの駐車場で、本日何度目かのため息を吐いていた。

 夏休みなんだし、短期の力仕事のバイトならある程度あるんじゃないか……。

 街中を歩き回ったこの数時間で、そんな俺の考えがいかに甘かったかということを、嫌というほど思い知らされただけだった。

 それとなくアテにしていた肉体労働系の仕事は、俺の体格を見て興味を持ってくれるところはあったものの、年齢を知ると苦い顔をして断られた。

 新聞配達なんかも、夏休み期間を利用してという同じような考えの学生が多いらしく、とっくの昔に募集は締め切られていたようだ。

 ならばと覚悟を決めて飛び込んだ飲食系の店などは、アルバイト募集の張り紙をしているにも関わらず、俺を見た瞬間に苦笑いをし、『人は余ってるから』と碌に相手にもしてもらえなかった。

 まあ、それについては仕方がないと思う。俺が経営者だったとしても、客商売でこんなイカついヤツは雇わないだろう。

 とはいえ、このままでは手詰まりなのも確かだ。やはりちゃんと、ネットでアルバイト情報などを調べるべきだった。

 だが、俺は今時の高校生なら誰もが持っているであろう、携帯端末など持っていない。

 秘密子には持つように口うるさく言われるが、あまり機械に詳しいほうでもないし、連絡を取り合う友人だって亮太くらいだ。何か用事があれば学校での連絡や施設の電話で事足りるし、なにより金も稼いでない俺のような立場でそんなものを持つのも気が引けて、敬遠していたのだ。

 だが、今となってはそれがどれほど心強いものかわかる。やはりここはいったん引き上げ、恥を忍んで秘密子に相談を……。


「ん……?」


 考え込んでいた俺は、足元の違和感で現実に引き戻される。その感触はなんというか、犬にズボンの裾を咥えられたような、チビどもに服を引っ張られるような、そんな感覚だった。

 いや、このご時世に野良犬もいないだろうし、わざわざ俺に子供を近寄らせるような親もいないだろう。おそらくは、散歩中に逃げ出した犬が裾を咥えているのだろう。

 そう思い、足元を見た俺の目に飛び込んできたのは……。

 

「え!?」


 そこにいたのは、3つ4つばかりになる女の子だった。だが、俺が驚いたのはそんなことではない。

 その子の頭上には小さな獣耳が生え、さらにお尻の辺りからはちょこんと生えた尻尾。一目見ただけで、人間でないのは一目瞭然だ。

 だが、クリっとした大きな瞳と整った顔立ちで、そんなことが気にならないくらいの可愛らしい女の子だ。

 一瞬、施設のチビかとも思ったが、こんな子は見たことがない。

 

「お……、お嬢ちゃん……?どうしたの……かな?」


 正直、いきなり泣きわめかれる可能性もあったが、ズボンの裾をしっかりと握りしめられている以上、無理に引き剥がすわけにもいかない。

 仕方なしに声をかけてみるが、俺を見上げるだけで返事はない。まあ、当然の反応だろう。

 施設のチビどもはともかく、初めて俺を見た子供は、たいていビビって泣くのがオチだ。

 とりあえず、泣かれた後の言い訳をどうしようか……。しばらくこの場所に突っ立ってたわけだし、誰かが見ていてくれれば最悪誘拐犯と間違えられることはないと思うが……。

 そんなことを考えていた俺だったが、その子がとったのは予想外の反応だった。

 俺を見上げていたその顔が、『にぱーっ』と微笑んだかと思うと、おもむろに言葉を発したのだ。

 

「ぱぱー!」

「はい!?」


 俺は慌てて周囲を見回す。

 そりゃあそうだろう。俺にこんな可愛い娘がいるはずがない。というか、悲しいことに娘ができるような相手もいなけりゃ、そんな行為をした覚えもない。時おりセルフサービスで発射される赤ちゃんの素だって、虚しく死んでいくだけの……。

 …………。話は脱線したが、今は俺の下半身事情などどうでもいいし、聞きたいやつもいないはずだ。おそらくは、俺の後ろにお父さんの姿を見つけたのだろう。

 だが、振り返ってみるも周りには親らしい人は見当たらない。

 

「えっと……。お嬢ちゃん、どこからきたのかな?」

「う……?んと……、あっち!」


 期待していたわけではないが、期待以下の答えが返ってくる。指差す先にもそれらしい人は見当たらない。

 少しばかり考えてみるが仕方ない。少し先に交番があったはずだし、そこに連れていくしかないだろう。

 

「パパとママとはぐれちゃったのかな?じゃあ、お巡りさんに頼んで探してもらおうか。え~と、お名前言えるかな?」


 そんな俺の質問に、女の子は元気に答える。

 

「うん!んとね~、『ひみこ』!」

「にぱ~」。元ネタは時を駆ける神社の娘さん。原〇知世さんじゃなくて、某サイコホラー?同人ゲームですね。最近アニメがリメイクされたんでしたっけ?

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