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23 チビ猫のひとり言 悩めるオトメはお年頃?

「ヒミコねーちゃん、またホンよんでるの?いっしょにおフロにはいろうよ!」

「ん?もうそんな時間か……。それにしても、珠魅(たまみ)はまだ一人でお風呂に入れないのかい?」

「ちがうもん!ひとりではいれるけど、ねーちゃんといっしょのがたのしいもん」

「ふふっ、仕方ないな。それじゃあ一緒に入ろうか」


 ほんのちょっぴりだけ『めんどうだなぁ』ってカオをするけど、ねーちゃんはやさしいから、おねがいすればいつもいっしょにはいってくれる。

 

「あー!タマちゃんずるーい。わたしもはいる~」

「ぼくも!」

 

 アタシがおねがいしたのをみて、ほかの子たちもちかよってくる。

 アタシはかしこいからしってるけど、これは『びんじょー』ってゆーやつだ。ねーちゃんといっしょにはいりたいんなら、じぶんでたのめばいいのに……。

 でも、それもしょーがないかなっておもう。

 なんでかってゆーと、さいきんヒミコねーちゃんにおフロにはいろうっておねがいする子が、アタシしかいなくなったからだ。

 もちろんウチには、ほかにもにーちゃんやねーちゃんがいる。

 でも、やっぱりイチバンにんきはヒミコねーちゃんで、ついでにキーチにーちゃんだ。なのに、なんでおねがいしなくなったのか……。

 

『ヒミコねーちゃんがこわい!』


 これは、さいきんアタシたちのまわりで、わだいになったことだ。たしか、『とれんど』ってゆーやつだ。

 たしかにさいきんのねーちゃんは、ジッとホンをよんでることがおおくなった。

 ヒメちゃんは、『ねーちゃんはきっとおこってるんだ!』ってゆう。たしかにアタシもそうおもうことがあるけど、さいきんはあんまりおこられるようなイタズラもしてないし、ちょっとちがう気もする。

 あれはおこってるってゆーか、ゲンキがないんだとおもう。

 ねーちゃんがそんなふうになったのは、キーチにーちゃんがウチからいなくなったころだ。

 もちろん、まいとしほかのにーちゃんやねーちゃんだってウチからでていくし、どんなにさみしくたってそれは、オトナになるためにしかたがないことだってきかされてる。アタシはオトナだから、センセーやにーちゃん、ねーちゃんたちのゆうことはもちろんわかる。

 それに、いつかはきっとアタシだって……。

 でも、だれかがいなくなるってゆーのは、やっぱりさみしい。

 だからヒミコねーちゃんも、キーチにーちゃんがいなくなってさみしいんだとおもう。

 『オトメゴコロ』ってやつにニブいみんなは気づいてないけど、ぜったいにそうだ。

 だってにーちゃんがかえってくる日のねーちゃんは、『まったくキーチは……』ってたくさんわるくちをゆって、とってもうれしそう(・・・・・)だから。

 だからにーちゃんがかえってきたときは、なるべくいっしょにおフロにはいるようにして、ねーちゃんもさそってあげるようにしてる。

 でも、なんでかわかんないけど、ヒミコねーちゃんはキーチにーちゃんとぜったいにいっしょにおフロにはいろうとしない。

 いっかいだけ、アタシがムリヤリふくをぬがせようとしたら、ゲンコツでアタマをたたかれた。キーチにーちゃんにも『てつだって』ってゆったのに、あかくなってそっぽむいちゃったし。

 せっかくアタシが気をきかせてあげたんだから、えんりょなんかしなくていいのに……。

 アタシはかしこいからしってるけど、そーゆーのは『ハダカのつきあい』ってゆうんだ。ハダカのつきあいをすれば、『しんみつ』になれるってことも。

 まったく……。

 そんなんじゃ、アタシのせくしーぼでーに、にーちゃんがゆーわくされちゃうかもしれないってのに……。

 でも、それもしかたないかなっておもう。なにしろアタシは、みんなの中じゃあいちばんオトナでいろっぽい……とおもうから。

 さいきんおっぱいもおおきくなってきた……ような気がするし、きっとそうだ。

 でも……。

 やっぱりねーちゃんがゲンキないのはイヤだから、にーちゃんをゆーわくして、しんみつになるのはやめておこう。

 うん、これもオトナのオンナの『よゆー』ってやつだ

 

「ほら、洗い終わったから流すよ。しっかり目を瞑って耳もふさぐ。いいかい?」


 なやめるオトメがいろいろかんがえてるあいだに、ねーちゃんはアタシのかみの毛をあらって、シャンプーをあらいながしてくれる。

 おゆが目にはいるとたいへんだから、あわててギュッと目をつむって、あたまの上のミミをふさぐ。ついでに、ハナにおゆがはいったらもっとたいへんだから、おおきくイキをすってとめる。

 

「ほら、もういいよ」

「ぷあ~っ!」


 ミミをふさいでたせいで、ねーちゃんのこえがとおくからきこえる。おフロにもぐってるみたいで、ちょっとおもしろい。

 

「ねーちゃん。シッポもあらって!」


 アタシはネコのシッポをフリフリさせながら、ねーちゃんにおねがいする。

 

「それは自分で洗いな。ほら、ほかに頭を洗えない子はいるかい?」


 それをきいて、ほかの子がうれしそうにねーちゃんによっていく。

 

「むう……」

 

 たいていの人は、シッポをフリフリすればアタシのおイロケにメロメロになるはずなのに……。

 それはほかのにーちゃんやねーちゃんもそうだし、このまえウチにきてた、しらないおばちゃんもそうだった。

 そのおばちゃんは、『ああ……。なんて可愛い子なの……。迷うわ……。でもダメよ。鬼一君を養子にって決めたんだから!』なんていいながら、アタシをだっこしてミミやシッポをわしゃわしゃしてたんだから。

 フフン!アタシはしってる。こーゆうのを『つみなオンナ』とか『ましょーのオンナ』ってゆうんだ。テレビでゆってたもん。

 このアタシのみりょくにオチないのは、ヒミコねーちゃとキーチにーちゃんくらいだ。

 あ!あと、ユキねーちゃんもそうだ。

 ユキねーちゃんは、ヒミコねーちゃんたちよりすこしとし上で、『ゆきおんな』ってゆーヤツだ。

 でも、ゆきおんななのにれんあいは『じょーねつてき』だってゆってたし、たしかにウチのにーちゃんたちからもだいにんきだ。アタシがどんなに『せくしーぽおず』でゆーわくしてもわらってるだけだし、なんか『オトナのイロケ』ってやつをかんじる。

 むう……。

 ユキねーちゃんが、このウチではアタシのつぎ……、いや、おんなじくらいにせくしーなのはみとめよう。うん、さすがアタシだ。テレビでも、『オトナのオンナはココロにヨユーがある』ってゆってたし。

 あ、いけない。はなしがそれちゃったけど、あんまりゆーわくしてねーちゃんがカゼでもひいたらたいへんだ。アタシのおイロケこうげきは、このくらいにしておこう。

 

☆ ☆ ☆

 

「ヒミコねーちゃん。さいきんホンばっかりよんでるけど、たのしい?」


 ようやくみんなのアタマをあらいおわったねーちゃんは、ふにゃけたカオでおフロにつかっている。

 

「フフ……。そうだね、楽しいよ。優れた小説っていうのは、自分がさもそれを経験しているかのような疑似体験を与えてくれるのさ。さらには映像が無い分、読み手が世界を想像することができるしね。珠魅もテレビや漫画ばかりじゃなくて、少しは本を読んでみたらどうだい?でも、そのためには勉強もしないとね。たくさん勉強すれば、難しい字もいっぱい読めるようになるよ。そうだ、珠魅も来年から小学校だし、お風呂から出たらみんなで勉強しようか」

「う……。ア、アタシはむつかしいのはあんまりスキじゃないから……」


 ねーちゃんのはなしはよくわかんなかったけど、なんだかイヤなはなしになるきがする……。

 でもだいじょうぶ。アタシはほかの子とのくちゲンカでもまけたことないし、イタズラだってたくさんごまかしてきたんだ。わだいをかえるのなんて、おちょこのホイホイ……じゃないや。そうだ、『おちゃこのハイサイ』ってやつだ。

 

「で、でもさ!ヒミコねーちゃんのよんでるのは、『れんあいしょーせつ』ってゆーやつでしょ?」

「ん?そうだね。よく知ってるじゃないか」


 フフン!とーぜんだ。アタシくらいになれば、れんあいしょーせつなんて、よまなくたってわかる。れんあいしょーせつは、オトコの子とオンナの子がなかよくするおはなしだって、しってるんだから。

 このまえそのはなしをヒメちゃんにしたら、そんけーの目でみられたし、『れんあいマスター』なんてよばれたんだから!

 あれ?でも、れんあいしょーせつみたいなたいけんをしたいってことは、ねーちゃんはオトコの子となかよくしたいってこと?

 でも、ねーちゃんはほかのにーちゃんや、カイくんやゲンくんともなかよくしてるよ?

 

「あはははは!まあ、そんなところかな。珠魅には、恋愛小説はまだ少し早かったかな?」


 ねーちゃんにきいたら、おおわらいされた。

 むう……。なんだかバカにされてる気がする……。

 くやしいから、いっしょうけんめいかんがえてみた。そしたら、アタシのアタマが『ピコーン!』ってひらめいた。

 

「そっか!ヒミコねーちゃんはキーチにーちゃんと、『れんあい』したいんだ!」

「なっ……!?ち、ちが……、そうじゃない!!」


 なんでか、きゅうにねーちゃんがゆでダコのようにまっかになったかとおもったら、『ドボン』っておとといっしょにおフロにもぐった。

 

「ヒミコねーちゃん!?」

 

 ほかの子たちもビックリしてたけど、ねーちゃんがようやくかおをだしたのは、もぐりっことかんちがいしたゲンくんが、さんじゅうかぞえてからだった。

 

「珠魅……」

「は……、ハイッ!?」


 かおをだしたねーちゃんからは、なんだかおっかないくうきがでていた。それはときどきだけど、キーチにーちゃんにむけるやつだ。

 あったかいおフロにはいってるはずなのに、なんでかせなかがゾクゾクする。

 

「珠魅、今言ったことは忘れるんだ。今後その言葉を二度と……、絶対に鬼一の前で口にするんじゃないよ。いいね?」

「う……、うん……」

 

 アタシがうなずくと、ねーちゃんはいつものやさしいかおにもどった。そのかおをみて、アタシもホッとする。

 こわくてちょっとオシッコもらしちゃったけど、みんなにはナイショにしておこう……。

 あ……。ねーちゃんがおふろのおユで、かおあらってる。うん……、みなかったコトにしよう。

 

「キーチにいちゃんは、つぎいつかえってくるの?」

「んー、そうだね。一週間に一度の約束だから、明後日のはずだね」

「そっか……。はやくかえってくるといいね」

「…………。うん……、そうだね。いいかいみんな、鬼一が帰って来たら、いっぱい遊んでもらうんだよ。そうだ、明後日は新刊の発売日だから、その前に買い物に出かけなきゃ。せっかくだから、夕飯は鬼一とみんなの好きな物にしよう」


 そうゆうと、ねーちゃんはちょっとだけわらった。

 ちょっとだけだったけど、それはいままでみたねーちゃんのえがおのなかで、イチバンたのしそうで、やさしいかおをしてた。

 かおについたオシッコのことは……、まあいいや。

閑話休題。ようやく名前が出ました。ちびっ子アヤカシグループのリーダー格にして、おマセ幼女の悩めるオトメ。化け猫娘の『珠魅』のひとり言です。話は少し遡り、鬼一と澄麗のデート?発覚前のお話です。次回も同じく、もう一人の悩めるオトメの話となります。

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