18 うちの不良娘がこんなに可愛いわけが……(再び以下自主規制) その1
「それじゃあ、行ってきます」
「テメェ、なんで一緒に来ようしてんだよ!」
「行き先が一緒なんだから、同じくらいの時間に出るのは仕方ないだろ」
「うっ、うっせー!一緒に住んでるってだけで、ただでさえ学校でも変な目で見られてるんだ。テメェは別の道で後からこい!」
「無茶言うなよ。そもそも変な目で見られてんのは、お前の格好のせいで……」
「あぁん!?なんだと!」
「にゃははは。相変わらず那澄菜とキーくんは仲良いね~」
相も変わらず毎朝繰り広げられる光景に、澄麗さんは楽しそうにツッコミを入れてくる。
「どっ、どこが仲良く見えるんだよ!目ん玉腐ってんのか?澄麗姉」
「そうですよ!どう見たって俺は被害者でしょう?」
「もう、二人とも静かにしなさい。ご近所の迷惑になるでしょ」
「そうだよ。この前なんかお隣のおばちゃんに、『美澄ちゃんのおウチは、いつも賑やかでいいわね~」なんて言われて恥ずかしかったんだから。それに、キーお兄ちゃんと一緒に登校できるののドコが不満なの?美澄だったら、お兄ちゃんと腕組んで一緒に行ってあげるのに」
「ほら、美澄も早くしないと集合場所に遅れるわよ。澄麗も今日は午前の講義がないからって、いつまでもダラダラしてるんじゃないの。早く着替えなさい」
それは、俺が円城家にお世話になって数か月が経った頃のことだ。季節は夏へと近付いて行き、少しばかり空気がジメジメとし始めた頃だった。
その間の俺はと言えば、母性と色気の溢れる華澄さんの言動にドキドキし、隙あらば悪戯を仕掛けてくる澄麗さんにヒヤヒヤし、相変わらず敵意剥き出しで毒を吐き続ける那澄菜とギクシャクし、一緒にお風呂をせがんでくる美澄ちゃんにハラハラする毎日を送っていた。
華澄さんはけっして悪気があるわけではないんだろうが、時々俺を小さな子のように扱い、平然と密着したりしてくるし、澄麗さんの悪戯は主に那澄菜を巻き込むので、俺の頬に紅葉が落ちるのが日課のようになっている。というか、まったく俺は悪くない気がするんだが……。
那澄菜の態度は……。まあ、澄麗さんのコンボが決まり、俺も共犯のように思われているし仕方がないんだろう。何度も言うが、俺のせいじゃないのに……。
美澄ちゃんは……。
正直に言えば、実はこれが一番のクセ者かもしれない。
何度かに1回は根負けして一緒にお風呂に入るのだが、この子は距離感がどうもおかしいのだ。
背中を洗いながら、さりげなく胸(と呼べるほどのものでもないんだが……)を密着させてきたり、膝の上に乗ればやたらとお尻を押し付けてきたりする。万が一俺にそっちの気があったなら、大変なことになっているところだ。
まあ、今はどうということはないが、5年後にこれをされたらさすがに平然としてはいられないだろう。サキュバスの血、恐るべしというところか……。
もっとも当面は、目の前の実害のある方が優先事項だ。
「へいへい、わかったよ。それじゃあ俺は大回りしていくから、先に出るぞ」
こうして毎度のごとく、俺は息を切らせながら、遅刻寸前で教室に滑り込むのだった……。
☆ ☆ ☆
「あーあ、体がなまってしょうがないぜ」
「そうは言っても勉強しないわけにはいかないし、しょうがないだろ」
「わかってるよ。そんじゃまたな、鬼一」
「おう。サボって走り込みとかせずに、ちゃんと家で勉強しろよ、亮太」
授業が終わり、俺たちはいつもより早く学校を出る。なぜなら、今はテスト期間中で部活動は禁止だからだ。
俺たちの通う私立校は、秘密子のような特待生や、亮太のようなスポーツ推薦枠を受け入れていることからもわかるように、文武共に力を入れている。
だが、不思議なことに文に関しては秘密子のような授業料免除の特待生がいるにもかかわらず、武に対しては亮太のような全国クラスの人間でも、推薦入学どまりなのだ。
なおかつ、テスト期間中に部活動全面禁止ということは、学問の方が優先ということなのだろう。
おかげで亮太は散歩に連れて行ってもらえない犬のごとく、体力を持て余している。
その情熱を勉強に回せばいいと思うのだが、そこはそれだ。誰しも得手不得手はあるし、俺も人のことは言えないしな。
だが、お金を出して高校に通わせてもらっている以上、あまり格好のつかない成績をとるわけにもいかない。
別に寄り道をするあてもないし、真っ直ぐ帰ってテスト勉強をするつもりで学校を出たのだったが……。
☆ ☆ ☆
「な、なんだよ。どけよ!」
「いーじゃんよぉ。そんな派手なカッコして、ナンパ待ちだったんだろ?ちゃーんと相手してあげっから」
「ちっ、ちが……」
「いいっていいって、わかってっから。俺らって優しーからさぁ。キミがちょっぴり冒険したいけど、自分から声かけるのは恥ずかしいお年頃だって、ちゃんとわかってっから」
「ギャハハ!ウケる。なんだそりゃ、ショーワ時代のアイドルの歌かよ?でもさ、こうやって知り合ったのもウンメーってヤツじゃん?とりまオケボでも行って、お互いのこと知り合おうぜ」
「違うって言ってんだろ!勝手に妄想してんじゃねえ!キメェんだよ、あっち行けよ!!」
「え、なに?この子おっぱいねーけど、よく見りゃちょー可愛いじゃん。こんなケバいカッコさせとくのはもったいねえよ」
「やっ……!さっ、触んなよ!!」
「おいおい、俺ら親切でやってるんだぜ。おっぱいって、揉むとデカくなるの知んね?気持ちイイと女性ホルモン?とか、そーゆーの出んだぜ?ほら、こーゆーふうに揉んでみると……」
「やっ……、やめろクソヤロー!!」
「ヒャハハ、オメー手つきヤラシすぎ。でもさ、ホルモンってビヨーとかケンコーにもいいんだぜ。君も気持ち良くおっぱいデカくなれたほうがいいっしょ?」
「うっ、うるせー!いらねえし、余計なお世話だ!!」
「遠慮しなくていいって。こう見えて俺ら、揉むのとかちょーウマいからさぁ。将来の夢はエステティシャンなんだぜ。ぜってー天国見させてやるって」
「ギャハハハ!なんだよその夢はよ?初めて聞いたぜ。オメーの夢はITシャチョーかAV男優じゃなかったのかよ」
近道をと思い繁華街の裏通りを歩いている時に、下卑た笑い声とともにそれは聞こえてきた。
夜の店が立ち並ぶそこは、昼間は人通りも少なくあまり治安のよい場所とは言えない。だが、近道になるのは確かだし、那澄菜が時々通るのを見て覚えた道だ。
その通りに似つかわしい、三人のガラの悪そうな男たちが奥まったビルの陰で、おそらく女の子であろう一人を囲んでいるように見える。
おそらくというのは、囲まれている人間は背が低いのか、男たちの陰になってよく見えないし、声からして女であろうというだけだ。
「いっ、いいかげんどけよチクショー!」
「おいおい……。俺らが優しくしてやってんのに、なにチョーシこいてんの?自分の立場わかってる?どーせ連れてってマワしちまうだけだったんだし、なんだったらここでヤっちまうぞ!」
「なっ……、ヤ、ヤルって……。なっ、なにする気だよ……!?」
「おいおい、オトコとオンナがヤることなんて、世界中で一つしかないっしょ?健全なパズルゲームだよパズルゲーム。ほら、テトリスとかヤったことない?アレと似たようなモンで、女の子の穴の開いたところに、男の子の出っ張ったもんを入れて塞ぐゲームだよ。ピッタリハマるとあら不思議!めっちゃキモチよくなれるんだぜ。しかも、埋めれば埋めるほどな」
「ヒャハハ、オメーうまいコト言うじゃん。そーそー。パズルだってズボッとハメるとカイカンだろ?」
「そっ……、そんなの……、ゲ……、ゲームじゃねえだろ!」
「おいおい。いつまでも我がままばっかり言ってんじゃねえよ。我がままはいけません、みんなのためになることをしましょうって、ガッコで教わらなかったか?この場合は、俺らの喜ぶことをしてもらうんだけどな」
「な、なに言ってんだよ……。ふ……、ふざけんな……よ」
「それに、オメーだって痛い思いするより、キモチイイほうがいいだろ?俺らに任せときなって。それともなに?お前Mなの?レイプ願望でもあんの?だったらこの場ででぶち犯してやんぞ!あぁん!?どうなんだよ!優しくマワされんのと、無理矢理ブチ込まれんのとどっちがいいんだよ、オラァ!!」
「ヒッ……!ち、ちが……。ヤ、ヤダ……。た、助け……」
「おっと、逃げんなよ」
女の子が逃げ出そうとしたのか、男たちの輪が乱れる。だが、それも一瞬のことだ。無駄な抵抗だったらしく、すぐに男たちの輪は元通りになる。
「なに?お前まさか初めてなの?マジ?初モンかよ。けど心配ねーって。俺らいいクスリ持ってんし、痛くなんかしねーよ。コイツ使えば、初めてでも天国イケるくらいブッ飛べっから。見ろよこの腰使い。チョー期待できんだろ?」
男は卑猥な笑みを浮かべながら、腰を振る仕草をしている。それを見れば、いくら経験のない俺でもそれが何の行為を意味するものかくらいわかる。
嫌な場面に遭遇してしまった……。
正直関わり合いになりたくないが、さすがに犯罪の匂い……、いや、犯罪行為そのもののこの場を見過ごすわけにもいかない。だが、警察を呼ぶにも俺は携帯端末など持っていないし、周りに人の気配もない。ならば急いで呼びに行くか?いや、それでは間に合わないだろう。
そんな時、俺は女の子の声に聞き覚えのあることに気付く。
さらには男相手にも引かない強気の姿勢と、囲まれた間からわずかに見える派手な金髪に、嫌な予感がする。
「ほら、お前だってこんなとこで青姦するより、ベッドやソファのあるとこのがいいだろ?心配すんなって。クスリキメて前と後ろで3本同時とかヤったら、マジ人生観変わっからよぉ。『サトリ』っつーの?開けっからよぉ」
「ギャハハハ、なんだよそれ。おシャカサマ?キリストだっけ?」
「つーか、エロ動画の見すぎだろ。後ろは勘弁しろよ。ありゃあ臭ぇし、後が大変なんだからよ。ヤるなら最後にオメェだけでヤれや」
「いいじゃねえかよ。俺は好きなんだよ、あのキツい締まり具合と、同時にツッコまれた時のオンナのなんとも言えねえカオがよぉ。それに、ヤる前にちゃんとカンチョーして、チョーナイ洗浄?とかすっからよぉ」
「ヒャハハハ。おめぇ、マジ鬼畜だな。けど、あの苦しそうな泣きそうなカオは、たしかにソソるよな」
「だろ?大丈夫だって。みんな最初は嫌がるけど、最後は癖になってケツでも感じるようになるからよ。それに、初めてクスリキメるとキモチよすぎて漏らす奴もいるし、最初にキレーにしといたほうがいいぜ」
「な……、なに……。お、お尻……って……?ウ、ウソ……。ヤ……、ヤダ……。イヤぁぁぁっ!」
「おっと……、逃げんなって。ヒヒヒっ。やっぱお前、Mっ気あるだろ。実はもう濡れてんじゃね?そこにクルマ停めてっから、とりま行こうぜ。ちょっと興奮してきちまったし、ホテル行く前に一発しゃぶってくれよ」
弱弱しい抵抗も虚しく、怯えた顔で男たちに強引に手を引かれて行くのは……。
「那澄……菜!?」
見覚えのある顔を見て、俺は無意識のうちに駆け出していた……。
展開や表現に、少しばかり不快に思われる方もいるかもしれませんがご容赦ください。物語を進展させるインパクトのある事件として書かせていただきました。タイトルは再びの『俺〇……』です。




