漫画の味
僕はドグラマグラ太郎先生が書いた駄文に目を通した。
「辛い時は好きな小説で誤魔化そう」か。
何を書いてんだ先生。
違うだろ先生。
漫画だ。
最高の娯楽は漫画だ。
小説は漫画の下位の娯楽だ。
小説の唯一の利点は制作ハードルが漫画より低い事。
それにより漫画より早く作れる。
それくらいだ。
「盗賊を剣で斬った」という言葉で例える。
小説なら「盗賊を剣で斬った」で終わりだ。
漫画なら片刃なのか両刃なのか片手持ちなのか。
上段からか横なぎか。
相手の表情。
相手の武器。
血飛沫。
自分の姿勢や相手の姿勢。
服装。
たったの一コマでさえ膨大な情報が詰まっている。
膨大な情報が視覚化されているので没入しやすい。
小説だとここまで書いてしまうと冗長になる。
読みにくい。
小説だと登場人物にも工夫がいる。
小説だと登場人物の誰が誰かイメージしにくい。
調理されていない料理の原材料を提供されている気がする。
漫画はちゃんと料理になっている。
小説はよく野菜や素材を生のまま提供してくる。
読者が料理する余地を残してくれる。
駄目。
ごめんだけど料理してくれ。
原料くれなくていいから。
料理を食べさせてほしい。
小説は駄目。
漫画は最高。
映画も駄目。
映画120分は長い。
ごめんだけど120分無い。
音が出る。
音が出ると娯楽出来る場所と時間帯が限られてくる。
イヤホンはつけるのが面倒だ。
音系は駄目。
漫画最高。
作家だけで作れるのが本当はいいんだ。
数人の仲間がいれば作れる位までのが最高なんだ。
映画にも合うのはあるんだけどすげえ少ないんだよ。
採算の分岐点の問題なのかな。
あと映画は5分で区切れないんだよ。
何が言いたんだったっけ。
漫画最高。
web最新話無料系が多すぎて追いきれない。
飽和してる。
インターネットが始まってある時期の話だ。
エロに性欲が追いつかなくなる分岐点があった。
今は漫画に漫画欲が追いつかなくなった感じだ。
漫画をめくりにめくる。
作者が数時間かけて書いたページを数秒で読む。
罪悪感がある。
カタルシスもある。
でもゆっくり読んでたら読みきれない。
まあまあ面白い作品でも巡回先から外す。
ジャンプも半分以上読めてない。
罪悪感がある。
カタルシスもある。
でも時間が無い。
じゃあ時間が最高か。
時間最高。
違うな。
お金か。
お金最高。
違うな。
違う理由は時間もお金も手段だからだ。
手段最高。
ほら違う。
じゃあ目的最高か。
達成感最高か。
僕は答を持っている。
でも慎む。
書かない。
脆弱な答だ。
答は慎んだり隠したりして守るものだと思う。
漫画はそんな事しない。
欲望と本音と大嘘を絵で正解で動かしてくれる。
漫画最高。
漫画家が睡眠時間を削って書いた漫画。
僕は他の娯楽時間を削って読み続ける。
どれだけ読んでも本当が満たされない。
他人の話だからな。
それでいいんだよ。
気分転換が出来る。
気分転換最高。
違うな。
漫画が無いと味気無い。
近いな。
漫画は調味料。
違うな。
漫画は飲み物。
違うな。
漫画はお菓子。
近いな。
お菓子最高。
わかる。
漫画はお菓子だ。
甘いお菓子。
食べすぎたら駄目になる。
やめられないとまらない。
中毒性がある。
甘い毒だ。
時間の無駄遣いだ。
緩慢な自殺行為だ。
ゆっくりとゆっくりと死ねる甘い甘い毒最高。
わかる。
漫画最高。
漫画が最高なのは多分身体が疲れているからだ。
漫画は読解力が低下してても楽しめる。
漫画最高。
疲れた。
漫画最高。
だんだん漫画を読む時間すら無くなってきた。
漫画最高。
疲れた。
漫画最高。
気分転換すると罪悪感がするようになってきた。
ぼんやりと好きな漫画の今回を思い出す。
ぼんやりと好きな漫画の次回を予想する。
そうすると不思議なんだけど。
漫画を読んで無くても少し気分転換出来るんだ。
漫画最高。
漫画最高。
漫画最高。
もうすぐチェンソーマンが終わる。
辛い。
漫画最高。