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甘やかな聖獣たちは、聖女様がとろけるようにキスをする  作者: 楠結衣
登龍門を泳ぐ

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聖女と龍の実


 テントや結界を仕舞い、いざ登龍門に向かって一歩を踏み出した途端、ロズに止められた。


「カレン様、登龍門に行く前に『龍の実』を採っていきましょう」

「龍の実?」


 初めて聞く単語に首を傾げるとラピスに手を繋がれる。手を引いて、たたっと走り出すラピスに一緒に着いて行く。


「かれんさまーこっちなのー! ここにあるのー」


 もしゃもしゃと伸びている草むらにしゃがみ込む。深緑色の細長い葉っぱの中で、青色の髪の毛がぴこぴこ動いているのがかわいい。


「あったのーこれなのよー!」


 ただの草むらだと思っていたのに、ラピスがビー玉くらいの真っ青な実を掲げて見せてくれた。龍の実は、ラピスラズリみたいな青色なので、神秘的で本物の宝石みたい。


「すごく綺麗な実だね」

「うんなのー! りゅうの実はーりゅうになるための実なのー」


 えっへんと胸を張るラピスが可愛い。大人可愛い系のラピスも可愛かったけど、やっぱり小さなラピスは天使。好き、かわいい、好きのエンドレスリピートする感想しか浮かばない。


「そうなんだっ!」


 今ひとつ内容が分からないけど、ラピスが可愛いことは分かった。もうそれだけでいいんじゃないかな? と思ってぎゅううとラピスを抱きしめて、おでこにちゅ、とキスをする。ふにゃりと頬を緩ますラピスに胸がきゅんっと弾けて、キスを落とす。


「カレン様は仕方ないですね……」

「うう、だって、可愛かったから?」


 横に来たロズに呆れられてしまったので、素直に謝った。


「龍の実は、龍の(ひげ)と呼ばれる植物になる実です。龍の実や龍の玉と呼ばれていますが、変わった実で空気が沢山つまっています」

「空気がつまってるの?」

「ええ、そうです。見せたほうが分かりやすいですね」


 ロズがそう言うと、龍の実の空色の皮を()くと真っ白の玉が出てきた。


「カレン様、見ててくださいね──」


 真っ白な龍の実をロズが草の生えていない地面に投げると、ぴょーんと大きく弾む。軽々と私の背丈を越えて弾む玉に、目がまん丸になる。


「ええっ……? スーパーボールみたいだね……!」

「空気がつまっているので、とても弾みます。弾み玉と呼はれていて、子供たちが遊ぶために集めることもありますね」

「そうなんだ! 楽しそうだから、私もやってみてもいい?」


 うずうずしてロズに聞くと、龍の実をひとつ渡してくれた。ロズの真似をして()いてみるけど、意外と難しい。なんとか真っ白な玉を取り出して、地面に投げてみる。

 ぽーん、とスーパーボールみたいに弾む玉に感動した。見た目が植物なのに、弾むっていうギャップがたまらない。


「すごいね……っ!」

「ええ、すごいです。空気がつまっている龍の実を口に含んでいると、どんな急流のなかでも楽に息をすることができますから」

「そうなんだ」

「前回の登龍門を昇り切れたのは、龍の実を見つけたおかげです」

「水の中にも生えてるの?」


 鯉のときは、地上にある龍の実を採ることができないから、不思議に思って口にする。


「龍の(ひげ)は、季節を問わず緑の葉っぱを深緑色に茂らせています。その様子から花言葉が『変わらぬ想い』『不変の心』なのです──強く龍になりたいと変わらず思い続けている鯉に与えられるのが、龍の実なんですよ」

「そうなんだ……っ! ロズ達の想いが叶って、龍の実がもらえたんだね。すごいね……っ!」

 

 さらりと話してくれたけれど、三人の想いが届いたなんてすごい強い想いだったんだと思う。


「龍の実って自分たちで見つけてもいいの?」

「ええ。今のわたしたちは、鯉になれますが、龍なので龍の実がなくても平気なのです」

「ええっ、そうなの? 龍の実がいらないのに、なんで採りにきたの?」


 びっくりして目を瞬かせると、ロズの口角が綺麗な弧を描く。


「龍になれた縁起のいい実なのと、うっかり者なカレン様と登龍門を昇るなら必要かと思いまして?」

「ふえっ……?」


 驚いて変な声をあげれば、ロズが意地悪そうに瞳を覗きこむ。


「嘘ですよ」

「ふええ……? うう、ロズの意地悪……っ」

「嫌いになった?」


 じとりと見つめても艶やかに笑うロズに心臓が跳ねた。

 

「カレン様は、隣にいて守られていてください。必ず元の世界に連れて帰ります」


 優しさのにじんだロズの言葉が景色がぼやけていく。意地悪のあとに甘やかなことを言うから、ロズはずるい。ますます好きになっちゃう。


「ロズの意地悪なところも好き」

「はあ……まったくカレン様は仕方ないですね」

「ふええ? な、なんで……?」

「そんな可愛い反応されるとますますいじめたくなりますけど──カレン様、お仕置きされたいの?」


 ロズの長い指がするりと頬を撫でて、顎を掬われる。熱の集まる顔で小さく頷けば、とんでもなく甘やかなお仕置きのキスが落ちてきた。

読んでいただき、ありがとうございます♪

前回で80話を越えました!

100話くらいで完結するのかなあ?ゆるっとプロットがゆるっとしていて話数がわからない( *´艸`)

一行で一話書くこともあるし、十行で一話の時もある←




アルファポリスさんで主催している恋愛大賞に参加しています!

鯉のぼり、頑張って完結させたいので、広告の下にあるオレンジ色の応援ボタンを押して投票してもらえると、本当に本当に励みになります(ㅅ⁎ᵕᴗᵕ⁎)

よろしくお願いします♪

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恋愛作品を色々書いています୧꒰*´꒳`*꒱૭✧
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