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異世界エビソード?

こっちの世界に来てからはや2年。色々な事があった。俺は今それらの事を思い出している。楽しい事ばかりではなかった。辛いこともあった。しかし、今となってはどれも思い出だ。


俺は町を見下ろせる丘の上に立ち物思いにふける。この町も立派になったものだ。2年前に来た時は廃墟同然だったのにな。あの頑強な砦もあの広大な畑も俺の指導の下、造らせたものだ。1年前には俺の失策で魔物たちに蹂躙もされた。だが今はこうして立派に立ち直っている。俺はやった。幾多の苦難にもめげずこの世界を手に入れたのだ。ここは俺が目指した至高の世界!みなが幸せなユートピアだっ!


さて、感慨に耽っていても仕方がない。俺は後ろに突っ立っているじじいに告げる。

「OK、挨拶は終わった。いつでもいいぜ、元の世界へ帰ろう。」

「ふうっ、こちらに残るという選択はないんじゃな?」

「おいおい、そうゆう約束だろう?神さまが約束を破ったら駄目だろう。」

「これだけの地位と名誉と財力を捨てるのか・・。お主、本当に人間か?欲というものがないのか?」

そう、俺は今やこの世界の王だ。人々からは勇者と崇められている。財力に至ってはこの世界の半分は俺の物と言ってもいい。しかし・・、しかしである。


「所詮俺はこっちの世界では異端だ。異世界の生物同士が分かり合うことはない。今はまだ俺の実績とチカラに惑わされて俺に追随しているが、熱が冷めれば邪魔に思うさ。」

そう、ラノベみたいなハッピーエンドなど現実にはあり得ない。俺はこの2年間でそれを学んだのだ。俺は強かった。しかし、強すぎた。人々の心はそれを飲み込めない。今までは自分以外の事に俺のチカラが向いていたが、もしもそれが自分に向いたらと人々が考え始めれば結果は見るまでもない。


女子おなごたちが泣くぞ?」

「泣かせとけ、ひと泣きしたら気も晴れるさ。女って切り替えはぇーからな。来年には俺の事なんか忘れているよ。」

「お主は忘れられるのか?」

「女は上書き、男は別フォルダーに永久保管さ。おかげでハードディスクの容量が圧迫されてしょうがねぇや。」


「本当にいいのじゃな?」

「くどいぜ!俺が本当に生きなきゃならない世界はあっちだ!死神だって?ああ、いいだろう!戦ってやるさっ!俺の人生は俺のものだっ!死んだ後ならともかく、それまでは俺の魂は俺のものだ!やつらの玩具にはさせないぜっ!」


「いいだろう、もう何も言うまい。お主も晴れて脱・童貞となったことだしのぉ。」

あっ、じじいの言葉になんか後ろ髪を引かれる。う~んっ、もう一回女の子たちにお願いしてもいいかなぁ。・・いや、既に昨日、沢山やった!今日は弾切れです。思い残すことはないっ!・・はずだ。


「あちらに戻ったらまた童貞だけどのぉ。」

えっ、そうなの?こちらの経験値は持ち帰れないの?う~んっ、じじいめっ!痛いところを突いてくるな。

「いっ、いいんだ!俺には思い出があるんだっ!いざとなったらそれを胸に生きるんだっ!」


うん、オカズにはなるな。ちょっと虚しいけど・・。くそっ、やはりスマホを持ってきておくべきだったか!いや、大丈夫!俺のチート能力で脳内再生画質は8K相当だからな!あの肌触りはVRだって再現できないぜっ!ああっ、でもひとりくらいお持ち帰りしてもいいかなぁ・・。


「それでは戻るか。」

「おっ、おう・・、バッチこいだ?」


そして俺は元いた世界へ飛んだ。よしっ、親父、お袋心配かけたな!今から戻るぜ!

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