王国さらば
王国さらば
俺達二人は騎士達に連れて行かれているなか、堺さんが「私達は王城から出たら解放してくれるんですよね?」なんて、肝が座ってるんだか、何か堂々と聞いていた。
しかし、騎士は「何を言っている?お前達は王国から追い出すんだぞ?なぜ、そんな事も解らんのだ?」と言われて堺さんはびっくりしていた。
そして僕らは王国から追い出されてしまった。しかも騎士達は門番に伝えて行く始末だ。
武器もない食料もない不安からだろう堺先輩は泣き始めてしまった。
正直、そこからすぐ何処かに行きたかったのだが放っておくのは気が引けて「あのー、大丈夫ですか?」と声を掛けた。
先輩は顔を上げて、涙でぐしゃぐしゃのまま「あなたは?誰?」って聞かれてようやく気が付いた。
(名前言って無かった)
「すみません、俺は2年の渡辺京谷って言います。」と自己紹介をした。
その質問を返すと「私、一人じゃなかったんだ」と言って少し顔は戻った。のだが、次は絶望的な顔になり「私達、死んじゃうのかな?」って言って来た。
だいぶ疲れているのかな?でも、確かにそうかも知れない。異世界で魔物や、魔族などがいて伝手などないし、ましてや城の外に放り出されている。しかも、王族とは、ちょっと敵対関係である。終わった。詰みである。
「堺先輩、俺はこのまま次の村か街を目指したいと思います。」
俺の言葉に慌てて、堺先輩は言って来た。
「外には、魔物や魔族が居るんだよ?そんな中でどうやって生きて行くの?それに比べてここに居れば誰かが助けてくれるかもしれないんだよ?」と言ってきた。
しかし、それは無理だ。もし助けて貰えたとして門番はどうするのか?俺らは王国には入れない。そんな中、助けてくれるのは盗賊だけである。
「申し訳ないんですが、それは無理だと思いますよ?もうすぐ夜になるから、人通りは減ると思うし王国には俺らは入れない。それに門番の兵士達は衛兵に言われているから助けてくれない。それに、何より」
「何より?」
「何よりこの街に居たくない。」